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再就職が難しい時代 早期希望退職者の応募が上回るのはなぜか

早期希望退職者募集 応募が上回る現象

続く早期退職者募集 これからの働き方で大事なこと」で、昨年末より今年に入り、3末決算を見越し
早期希望退職者募集が増えている件について紹介しました。そして「希望退職募集に応募が多い現状」でも書きましたが、今回募集人数に対し応募が上回る事象がさらに出てきています。

例えば人数規模が多いケースとして
□三菱自動車、550人募集→654人が応募
□青山商事、400人募集→609人が応募。
□セガサミーHD、650人募集→729人が応募
□TSIホールディングス、300人募集→351人が応募
□曙ブレーキ、180人募集→223人が応募
□ロイヤルHD、200人募集→315人が応募

小規模のケースにおいても
□千趣会 50人募集→134人が応募
□味の素 100人募集→144人応募
□エイベックス、100人募集→103人応募、
など募集人数に対し応募が上回るケースが出てきています。「早期退職者募集 上回る」のキーワードで検索すると、様々な企業が並びます。参照: 検索結果
いずれの企業も早期希望退職募集の対象者は、40歳や45歳以上で勤続5年あるいは10年以上の正社員であり、再就職、転職が難しいと言われる年代です。
さらにコロナ禍にあってはエージェントの手助けがあっても再就職は難しい状況です。
聞くところによると職安と同程度の仕事しか紹介しないエージェントも多く、簡単な面談と職務経歴書の書き方指導程度で終わり、就活は自分でやってくださいと言うこともあると言います。
考えてみれば、昨年よりの早期希望退職者募集で対象となった方は発表されただけでも全国で2万人程度。
上場していない企業、人数を発表していない企業、倒産や事業撤退まで含めると数万人、いやそれ以上はいるのでしょう。しかも40代以上の中堅社員、管理職を採用する企業がいったい何社あることでしょうか。
おのずと就活において何十倍、何百倍となるはずです。事実、管理職経験者募集の中小企業には、何百と言う応募が殺到していると言います。
以前「早期退職推奨でも辞めずに残るときの心構え」でも言及しましたが、希望退職は強制ではないので、辞めずに残る道はあります。

そんな状況下『なぜ募集に対し応募が上回る現象』が起きているのでしょうか。

再就職が難しい時代 応募が上回るのはなぜか

もともと募集が定員になるのが難しいと言われる早期希望退職者の募集人数に対し、応募が上回るのには考えられる理由がいくつかあると思います。

業界、会社の将来に対する不安
新型コロナウィルスの影響から業績が悪化した業界や企業において、アフターコロナの経済環境やマーケット、新たな生活様式に対し「従来の自社の商品サービス、業態では対応は見込めないのでは」と言う漠然として不安や、「今後の事業方針が不明確」「事業転換が進まない、スピードが遅く競合優位性が無い」など、社会や同業界他社の変化に対しする自社の将来の不透明さから抜けていくケースです。
アパレルや旅行業界、飲食業界など直接的にコロナの影響を受けた企業はもちろん、デジタル化社会においてIT化、DX推進が遅れている企業、EVなど始めとする新たな分野での自社の事業の方向性が見えない企業が多いようです。
このような場合、対象となる層以外の若手社員の離職も公表されないだけで出てきているようです。

経営層への不満
「会社は人なり」「人は財産」「社員の幸せを」と言った経営理念がありながら、業績回復に向けて人員削減を行ったり、そしてマーケットへの対応、事業の転換、新規事業をいち早く行わず、業績悪化の自らの責任を明確にしていない経営層。現場の状況に理解が乏しい上役に対する不満や不信から抜けていくケース。これが意外に多いようです。特に役員を社内昇進組で固め、外部からプロ人材を登用しない古いタイプの企業に多いです。
このような企業は社内に良くない口コミ広がったり、優秀な人材、新卒が日常的に抜けていきます。
余談ですが、面談で「君はパソコンやLINEを上手く活用できないようだね」と管理職を叱咤した役員が、メールも打てない人だったと言う笑い話があります。

同年代の共通意識
40歳以上の中高年サラリーマンに多くある状況。古くからの縦割り組織の弊害やポスト不足による役割不明確な業務。働き方改革による残業削減のしわ寄せ。帰属意識、エンゲージメントの低いメンバーのマネジメントなど、同年代の管理職に求められるものは多岐にわたり、ストレスも多大なものです。
このままこの仕事を続けるのか、違う環境で頑張るか、自問自答している世代が、募集を機に抜けていきます
一緒に抜けていく同僚、いち早く抜けて別の環境でヤリガイ感じて頑張っている同期社員の影響なども大きいのです。

キャリアチェンジへの願望
もともと、現在の会社に長く勤める気持ちは薄く、チャンスがあればもともとやりたいことや別の職種へとキャリアチェンジしようと考えていた人たち。
この機に割増退職金をもらい、違うステージに進む選択を採るケースです。

それ以外にも様々な理由があるとは思いますが、会社側が当初予定していた層(ターゲットとなる人材)だけでなく色々な人材がこの機に抜けていくので、予定を上回る人数になるのでしょう。
会社側としては予定通り、いやそれ以上の人件費削減が出来るので、株主決算報告も無難に乗り切れそうですが様々な課題が残ります。
残った人材による配置転換での業務推進の課題はもちろんですが、依然続く業界、会社への不安をどう対処していくか。事業の方向性、新たな戦術戦略、新規事業、デジタル化対応など解決していかなければならない課題があります。
そして何よりも、募集人数を上回る応募は『会社のイメージ』に影響を与え、新規採用がより難しくなるということを心構えておいた方が良いでしょう。

「どこの会社にお勤めですか?」
「〇〇会社です」
「ああ、おたくも色々大変ですねえ、、、」
残った社員の方もしばらく言われます。