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続く早期退職者募集 これからの働き方で大事なこと

まだまだ続く希望退職者募集の流れ

年明けの記事「年明け早々から始まる早期希望退職者募集」で、3月決算を見越して企業の早期退職者募集が加速するだろうと予測していましたが、やはり次々に発表されています。
主だったところでは
JT、たばこ事業見直し 1000人規模の希望退職を募集へ(朝日デジタル)
ポプラ、希望退職約50人募集 愛知・富山・石川県の30店撤退(yahooニュース)
東芝、半導体事業で824人の人員整理 システムLSIから撤退で(ITメディアニュース)
「いきなり!ステーキ」赤字39億円 リストラで3年連続(JIJI.COM)
ワールドは1年でリストラ2度 EC出遅れ響く老舗アパレル(産経新聞)
NHKが早期退職募集 50~56歳対象、年齢構成を是正(日本経済新聞)

そして早期退職者の応募人数も次々に発表されてきています。
曙ブレーキ、生産拠点の早期退職に223人応募 募集人数を上回る(ITメディアニュース)
カシオ、早期退職制度に81人応募(日本経済新聞)
青山商事、希望退職に609人応募 募集人数5割上回る(日本経済新聞)

特にワールド、青山商事などのアパレル業界は、以前から消費者動向の変化や百貨店中心の販売不振など厳しい状況が続いており、さらに今回のコロナの影響で在宅勤務、ステイホームなどにより、オフィスカジュアル系の需要は縮小し、店舗閉鎖や人員整理はやむなしといった感じです。
上記に上げただけでなく多くの企業が3月決算を間近に迎え、株主や金融機関への対応を計画中ですが、どちらに対しても業績報告だけでなく今後の方針、事業展開について具体的プランをアピールしていく必要があります。
特に金融機関に対しては新規の融資などの観点からも人員削減でコスト削減、収益体質の改善の明確な提示が重要です。
また企業によっては、人員削減のための費用、割増退職金などのキャッシュがネックになり、人員整理したくても直ぐにはとは行かないところも多いようで、今回の3月決算期だけでなく来期、来年と、この波は続くと思います。

早期退職者募集が与える影響

昨年からの早期希望退職者募集の全体の傾向としては、募集人数を越える応募者数が見受けられ、当サイトの「希望退職募集に応募が多い現状」でも触れたように業界、会社の将来性への期待薄と自身のキャリアの見直しを考え離職していく人が増えてきています。
一方の残った社員の方も、上記のアパレルのようにマーケットや経済環境の大きな変化や、JT、東芝、オリンパスやカシオなど従来のメイン事業からの転換を図る場合、人員整理後の新体制において、仕事内容が自身の希望とは全く異なるケースや個人の業務過多のケースも多々出てきますし、メーカーの工場閉鎖による別工場への配置転換においても、従来の業務とは異なる業務や、別地方への転勤などを求められる場合も出てきます。

このように早期希望退職者募集は、対象者だけでなく、既存の社員への様々な影響を与えます。
経営側は、個人の能力を考慮した人材の配置と再編成をうたっていますが、表に出ない早期退職対象者以外の人材流出は必ずと言っていいほど起こってきます。
早期希望退職者募集は、発表と同時に、新たに必要とされる専門性高い新規の人材採用と、残る社員達の個人の今後のキャリアプランを明確にした再編成を同時に行っていく必要があり、人件費圧縮による一時的な収益改善だけでは済まないのです。
さらに希望退職者の再就職には企業も全面支援を必ず表明していますが、その実態は転職エージェントに丸投げであったり、本人が希望する転職先などの斡旋はほとんどなく、例えあったとしても非常に狭き門であったり、単に就職活動の指南だけと言う話も多いようです。

これだけ同年代の退職者が多い状況では再就職が厳しいのは当然の状況ですが、生活の為とは言え、焦って次の仕事を探しても必ずしも良い仕事に就けるとは限りません。
先日の「同じ職種で転職は意外に難しい / 求められるキャリアチェンジ」でも触れましだか、一企業、業界内で通用したスキル、経験がそのまま活かせる仕事は少なく、ましてや業界全体が低迷していたり、時代に合わない事業の転換が要因であれば、厳しい言い方ですが、今までの経験や知識を活かせる仕事はほとんど無いと言っても良いでしょう。

これからは年齢関係なく、キャリアチェンジをしていかなければいけない時代に来ています。
早期希望退職される方も、残って働く方も、
これから「自分は何の仕事をしていきたいのか」「やりがい、働き甲斐を感じるのはどんな仕事なのか」
そして「どこで、どんな形で働いていきたいか」を考える良い機会でもあり、そのために今必要なこと、学び・自己啓発、人脈作りなどを積極的に取り組んでいくことが必要だと思います。