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メンバーシップ型で雇用された40代、50代に待っているジョブ型雇用

ジョブ型採用(雇用)の流れ

「働き方改革」の掛け声の元、現在多くの企業が社員の働き方、生産性、長時間労働の見直しに関し様々な取り組みを行っています。
マスコミは「長時間労働見直し=残業代カット」と言う角度で取り上げるため、
働き方改革が多少ネガティブなイメージで浸透しているところがありますが、それでもなお、働き方の多様性(ダイバーシティ)を受けて、育児や介護しながらの仕事、ネット活用のテレワークなど勤務場所や時間を上手く使い分けた働き方や、外国人社員の積極的活用など、職務と生産性の見直し、成果や評価などの人事制度の改革への取り組みは始まっています。

そんな中、雇用に関して、古くから日本型経営のベースとなるメンバーシップ型の雇用から、欧米のジョブ型雇用へ移行がうたわれています。

メンバーシップ型採用(雇用)とは、終身雇用・年功序列を前提に、一括採用した社員に様々な研修や階層別の教育を行い、会社内の色々な部門を経験させ、自社の事業展開に必要な能力を向上させていくやり方で、ご存知のように日本の多くの企業が取り入れていた形態です。政府や経団連もそれに沿うように、新卒一括採用のルールを明確にしてきました。
そのメンバーシップ型採用から、「特定の仕事の為に人を雇用する」欧米型のジョブ型採用へ変わる動きです。

経団連の産学協議会の「採用と大学教育の未来に関する共同提言」(中間とりまとめ)
においても、今後、変化のスピードと多様性の時代に活躍できる人材は、ジョブ型雇用が求められると推奨しています。
参照 :経団連資料 : 採用と大学教育の未来に関する共同提言」(中間とりまとめ)

採用の基準を人から仕事へ変換していく流れです。今後新卒の一括採用も、専門性を重視した職種採用(本当の意味での就職)に変わっていくのではないでしょうか。

ジョブ型雇用の欧米企業では、仕事に対しての報酬が決まっている(年齢は関係なく同一賃金)為、収入アップを狙うには、自らの専門性を高めスキルアップし職務のレベルを上げるか、給与の高い職務に切り替え、転職していくのが当たり前のように行われています。
まさに、個々人がキャリアオーナーシップを持ち行動する働き方なのです。

40代、50代の転職、再就職はジョブ型

リストラ、早期退職の憂き目にあう多くの中高年サラリーマンが、転職、再就職に苦戦している要因一つに、募集側の企業が、このジョブ型の採用を求めている点があります。

「貴方は、我が社の為に何が出来るんですか?」と、この一点です。

特に、経営層の人材に関しては、自社の事業成長に明確に貢献してもらえる専門性、高い事業マネジメントスキルを求めたり、技術系の人材であれば、新分野、新技術開発の先導役を期待するのは当然のことでしょう。
しかしメンバーシップ型で採用され、その会社内だけでのキャリアを積んできた40代、50代の中高年にとって、その要求は大きな壁となり上手くマッチングしないケースが多いのです。
そもそも40代の社員を22歳と同様に、教育研修して何年かかけて戦力化していくなんて会社が無いことや、給料は新人より高く希望してくるなら、尚更受け入れにくいのは解りそうなことですが、「大手に長年勤めていたから、どこかあるのでは?」と言った変な希望的観測だけで就活してまうからです。

だからと言ってさらに「とにかく何でもいいから仕事を」と焦っても、職安で募集している中高年向けの仕事は、管理系(マンション、駐車場、警備)、運輸系(ドライバー)、などまさに同一労働同一賃金の仕事が多いのが現実です。
メンバーシップ型の雇用に慣れ親しんだ感覚では上手くいくわけがありません。

世の中が、ジョブ型採用にシフトしていく中、いい転職(納得できる仕事と報酬)を実現していくには、欧米型に見習うわけではありませんが、何歳からでも自らの専門性を高めスキルアップしていくことが重要なのです。
そのためには、現在働きながらでも「もし自分が別の会社、別の業界に移ったら何ができるのか」を自問自答してみたり
その仕事はジョブグレードにすると幾らぐらいの価値か、「自分の仕事は一般的に年収いくらに値するか」などを考えてみることが大切です。

それらを考えることが貴方自身のキャリアオーナーシップなのです。

(編集部)

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