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上場企業の早期・希望退職者募集1万人突破から見えるもの

東京商工リサーチの直近(9/15)の発表によると、上場企業の早期・希望退職者募集が60社、1万人突破。昨年より一か月早いペースでリーマンショック時の2010年の83社に迫る勢いです。
参照:□2020年上場企業 「早期・希望退職」募集 1万人を超える(東京商工リサーチ)

昨年の数字(上場企業の早期・希望退職者募集35社、11351人)は、主に一昨年からの流れで、企業の経営環境に対応した構造改革、業態改革の計画に順ずる人員調整、いわゆる『黒字リストラ』がメインであり、社数よりもその規模(千人単位)が注目されましたが、
今年の発表は新型コロナの影響を要因(間接的含む)としたものが全体の三分の一を占めています。
新型コロナの影響は、海外との提携、サプライヤーネットワークなどグローバルなビジネス構造を持つメーカーはもとより、「ステイホーム、新しい生活様式」により、自粛、会合や外食の減少など様々な業種・業種に及んでいます。

昨年と異なり、一社当たりの募集人員数は100人単位ですが、今年、来年と言う短いスパンでの応急処置的な対策のものも多く、消費、需要の回復の見通しが立たない現在では、さらに社数は増えると予想されています。

早期退職者募集

これからの働き方

当サイトでも以前より

黒字リストラと業績不振リストラ 両方が始まる
不採算事業の撤退とコスト削減。人材(人財)をどうするのか
日本郵政グループの1万人リストラ 対象はどの層なのか
変わる成長分野(コロナ終息後に変わる働き方Part.3)

などで、業界や企業全体の今後の動きについて触れ、

メンバーシップ型で雇用された40代、50代に待っているジョブ型雇用
電子化の流れで仕事が無くなる
本格的ICT活用と自分の仕事
リモートワークで評価制度が大きく変わる

で、従来の仕事、職種が今後無くなる可能性や、転職、再就職も厳しくなるであろうことについても言及してきました。

コロナ消息が明確に見えない中、消費動向の変化を受け、企業としての主流人材の変化や、外部副業人材の利用、IT、DX導入による人的業務の効率化など、企業内外の人材の流動化はますます加速します。

40才以上の生産性が見えず人件費の高い中高年ボリュームゾーンの人員整理と言う考え方は既に過去のモノとなり、新卒一括採用の見直しも含め、年齢に関係なく「事業に必要なスキル、経験ある人材」の適時採用とジョブ型雇用契約、リモートや在宅社員の拡大など、「企業と個人の関係」と「個人の働き方」も変わってくるでしょう。

これからは単に直近の業績・赤字対策ではなく、上記のような新しい企業像に転換していく為の人員の見直しに取り組む目的とした「年齢、在籍年数に関係ない早期希望退職者募集」を行う企業も増えてくると思います。

既にいくつかの大手企業は、「企業と個人の関係」について、就社、教育、終身雇用の形で無く、お互いのメリットを明確にした協力相互関係をベースとした制度に変えつつあります。

既に一社就社型の受け身の働き方は崩壊しつつあります。

個々人が自分のキャリアを短期、長期のスパンで考え、その実現の場としての一次的企業在籍と、同時に専門的スキル知識の学びや、個人の人脈作り、ネットワークの拡大など次のステージ、仕事に進む為の活動が求められる時代になるではないでしょうか。

【後記】上記の数字は、公表されたものであり、公表していない企業のもの、上場していない企業の数字、正社員だけでなく契約社員、派遣、パートなどを含めると、相当な数になるでしょう。とにかく生活の為どこでもいいから就職をと言う意見もあるとは思いますが、どんな形であれ、自分のキャリアアップ考えながら働くことが次につながると思います。