一昨年あたりから、大手企業が「働き方改革」や「就活ルールによる新卒一括採用の見直し」など、その採用に対する考え方が大きく変化してきている中、2021年の新卒採用に関して次のようなニュースが。
新卒採用「減らす」倍増、「増やす」大幅減…主要100社アンケート
(読売新聞オンラインより)
「読売新聞社と日本テレビ放送網は19日、主要100社を対象にした2021年春入社の新卒採用アンケート調査の結果をまとめた。採用予定数を20年春入社より「増やす」とした企業は9社にとどまり、前年調査(23社)から大幅に減少した。「減らす」は29社と、前年の15社から倍増した。」
中でも新型コロナウイルスの影響もあり、セブン&アイ・ホールディングスやローソン、高島屋などの流通大手やITの導入などの課題で業務や体制の改革を迫られている金融業界、さらには鉄鋼業界、航空業界などが新卒採用を減らすとしています。
新卒採用を減らすと発表した企業は、昨年の倍(全体の30%、昨年は15%)になっていますが、今後コロナウイルスの影響によっては、経営を取り巻く環境が厳しくなり、採用の下方修正を行う企業がより増えてくるかもしれません。
新卒採用活動やルールそのもの自体にも多くの企業が変化を求めており、当サイトでも
■教育と実践 時代はジョブ型採用・雇用に向かう
でも触れたように、「変化の激しい社会に対応した人材育成(大学の専門化)」による、前倒しの就業体験での即戦力化の動きや、
■高度人材の確保に於ける新入社員の高額報酬と中高年の課題
で紹介した「専門性の高い新卒の高額報酬採用」など、多様な採用に向かっており、
今回の調査でも、ソニーなど「AI及び半導体領域のエンジニア」の採用増を伝えています。
増える中途採用
新卒採用を抑制する企業が増えた一方、即戦力を求めて中途採用を増やす動きが加速しています。
今回のアンケートでも4割近くの企業が前年より中途採用を増やすと答えており、技術革新への対応だけでなく、新たなビジネス、価値の創造や、古い企業体質からの脱却を狙っていることが伺えます。
働き方改革の導入・実践で一番壁となっているのは、古くからの就業観であり、変えられない労務管理・評価などです。
勤務の制度、評価体制の変更、電子化によるスピードアップなど、課題に前向きに着手できない要因があるからです。
当サイトの
■テレワーク導入で浮き彫りになる企業の今後
でも触れた「働き方を変えることに対する大きな抵抗力」などが壁となり、テレワーク一つ導入できずにいます。
中途採用は、そんな「昭和的な働き方」を大きく変えるための起爆剤となる可能性があります。
専門性で採用され、成果をメインとした契約においては、労働時間による労務管理や評価が一変されます。
一昔前、新卒で入社し長年働く社員(プロパーと呼ばれる)が、将来の幹部であり、その企業の中枢を担うと言われましたが、新卒と中途が逆転し、中途社員が企業の将来を担う新たな部門で活躍していくと、その概念も無くなってくることでしょう。
既に、経営陣、取締役なども従来の昇格コースではなくなく、他所からの人材投入(中途採用)が増えてきています。(■金融業界と理系人材 参照)
今後、大手企業は益々中途採用に力を入れていきます。
職場の過半数が他社、他業界からの中途入社組となる日も来るのではないでしょうか。
新卒プロパー、中途入社組と言う呼び方も「昭和的働き方の就業観」からくるものかもしれません。
メンバーシップ型で採用され、特化した専門性を持たないプロパー達の居場所がますます無くなってくる時代になるのかもしれません。
(編集部)
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