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教育と実践 時代はジョブ型採用・雇用に向かう

いきなりですが、次の言葉は何のカテゴリーだと思いますか?

「生産環境経営」「こども」「国際貢献」「ICTイノベーション」「リハビリテーション」「デジタルエンタティメント」「事業創造」「健康科学」「食のプロデュース」「地域観光」

新聞のコーナータイトル?
売れてる雑誌のテーマ?

実はこれらは2020年度に新設予定されている専門職大学・短大の学部名(文部省発表)です。

専門職大学・短大は、現代の急激な気産業界の構造転換を受け、高等教育に対し産業界等からのより実践的な教育へのニーズや学び直しへ要求から、
「変化の激しい社会に対応した人材」=「より高度な実践力と新たなモノやサービスを創り出せる創造力を有する人材」の育成強化
の為に、2017年3月に制度化が閣議決定し、実際に開校したり次々に設立準備がなされている大学です。(※参照 専門職大学 専門職短期大学について 文部科学省)

特長としては、実践的な職業教育に重点に産業界(企業)と密接に連携し、専門職業人材の養成強化すること。教育内容では卒業単位の3割~4割はインターンシップなどの実習や演習であり、学生は産業内での実習を2年間で300時間以上、4年間で600時間以上履修する事となっています。
上記の学部は、何ともストレートな名称ですが、今後の産業界の重要な成長分野であるのは間違いありませんし、既存の学部よりは教育内容が具体的で分かりやすいと言えます。

大学教育変革

変わる大学と受け入れる産業界

受け入れ側の産業界も変わってきています。

経団連が大学に向け発表した「大学教育に変革を」の提言には、

  • テクノロジーや知識の陳腐化が早く、社会の複雑度が増しているとして、従来型の教育をあらためる必要がある。
  • 文系・理系を問わず、文章や情報を正確に読み取る力や、外部に対して自らの意思を的確に表現し、論理的に説明する能力を養う必要がある。
  • またビッグデータやAI(人工知能)を使いこなすために、情報科学や数学・統計の基礎知識も必須になる。

とあります。
そもそも文系・理系と言う分け方は日本独自のものであり、世界的には自分の好みに応じて様々な単位を取得するケースが多いのです。そうした状況から

  • 文系・理系の枠を超えてすべての学生が情報科学、数学、歴史、哲学といった基礎科目については全学生の必修にすべき。
  • 専門教育についても、理系学部では語学教育を高度化するとともに、文系学部ではプログラミングや統計などの履修を。

と提言されています。(※参照 今後の採用と大学教育に関する提案 経団連)
数学、数字が苦手だから文系!! と言うよくある選択肢は無くなるのでしょうか。

一方の従来の大学でもこの流れに沿ってある種の転換期を迎えており、大学関係者からは
「大学のブランド力、実力は、偏差値で比べるのではなく、どのような特色ある教育をやっているのかを見るように変わる」
「卒業生がどこの会社に入ったかではなく、どのように活躍できているのかが大学選びの重要な指標になる」
「AOや推薦入試で学生を取る割合は益々増え偏差値による大学選びはいずれ終焉し、
学生自身が学びたいことと大学が求める人物像や教育環境を踏まえて選択するようになる」
などの声が出てきており、
新たな学部学科、教育カリキュラムなど、専門職としての就職を見据えた他大学との差別化を図っていく流れになっていきます。

このように、大学(受験から)から企業への就職の流れは、
個人の学び志向 → 実践的な教育 → 即戦力人材 → 専門職採用(ジョブ型雇用)
に変わっていくことでしょう。

さらに入社後も、時代に合わせた業態の変革や終身雇用の廃止などで、
専門職 → スキルアップ、キャリアチェンジ、学び直し → 転職・スキルアップ
と言う働き方の流れも同時に増えていくのではないでしょうか。

中高年ビジネスマンの方々には、直接的には関係しないかもしれないですが(お子さんの受験ぐらいでしょうか)、近い将来そのような新人たちが間違いなく入社してきます。彼らは「どこの大学を出た」ではなく「何を勉強してきた」「何が出来る」で採用された人たちです。
同時に、採用や教育、評価など人事制度も変わります。
もしも変わらずにメンバーシップ型の一括新卒採用にこだわる企業だったら人材獲得の面では後れを取ることは明らかです。

ジョブ型雇用に近い、専門職の新人。
彼らとどう接していくのか?
どのようにマネジメントしていくのか。
従来のメンバーシップ型採用での真っ白な新人を育てる既存のものとは全く異なる育成方法、マネジメント力が求められるのではないでしょうか。

最後に、経団連の提言の中にある企業がこれから求める人材についての一文をご紹介します。

今後、Society 5.0の社会に向けて、会社組織のネットワーク化や人材の流動化が進むこととなる。こうした時代の働き手は、ジェネラリストとしての「就社」ではなく、「就職」することをより意識し、これまで以上に大学の段階から将来のキャリアを念頭においた専門知識の修得が求められる。企業においても、求める人材像に沿って、働き手の学修履歴や職務経験などを適切に評価し、活用することが求められる。

(編集部)

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