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出向をどう考えるか

増えるであろう出向

昨年度決算で過去最高収益をたたき出したキリンホールディングスが、45歳以上の社員を対象に早期退職を実施する発表が成されるなど、「儲かっているのに中高年の人員整理」の流れは留まるところを知りません。
※参照「キリンが早期退職を実施、過去最高益なのにリストラ着手の裏事情」(ダイヤモンドオンライン)

記事にもあるように、ビジネス環境が激変している中、現場では若い感性が求められ、ビジネスで勝つための人的投資としての若返りが企業に求められているのです。

このように大手企業のリストラニュースが次々に発表されていますが、大きなニュースにならないものに「子会社、関連会社への出向」があります。

昨年は「お試し出向」と言う名でシニア人材の出向や研修の形で地方の企業に赴任する制度をパナソニック、旭化成など少なくとも約30社が導入した話や、先だって大手の損保が関連事業への中高年層4000人の出向というのが話題になったり、最近では大阪ガスが現場の機動力を高めるために、戦略的に事業を分社化し1800人の出向を発表しました。

「出向」と聞くと、どうしても「左遷、負け組」と言ったネガティブなイメージが持たれがちですが、元々金融関係では頻繁に行われており、グループ会社を多く持つ大手企業でも「出向→転籍」はごく当たり前な行われています。

今後もリストラ以上に頻繁に行われるであろう出向。
実際に当事者となった方は、どうのように考えていけばいいのでしょうか。

子会社関連会社への出向

プロ経営者に見る出向の意味

カルビー元会長の松本昌氏と言えば、停滞していた同企業を1部上場の成長企業に変え、近年はRIZAPグループの立て直しに参じたのは有名です。

松本氏は伊藤忠の営業マン時代に、赤字関連会社への出向を命じられたそうですが、その時の考え方が興味深いものです。

※参照「潰せといわれ子会社へ 出向で得たキャリアの転機」(日経STYLE)

出向を命じられた際、松本氏は、「正直、悔しいとか、うれしいとか、仕方がないとか、そういう感情は一切湧かなかった」「大事なのは、その仕事が面白いかどうかだけです。」と語っています。

当サイトの「何がしたいか、どんな仕事に就きたいかより、どのように働きたいか(自分のキャリアアンカー)」の記事でも紹介した考え方で言えば、「業種や職種」よりも「面白味を感じながらやれる仕事なのかどうか」が松本氏の働き方、ポリシーだったのではないでしょうか。

さらに同氏は「出向」に対し「出向とは、自分がそれまでのキャリアで培った財産や知識を出向先の会社に移すことだ」と結論を出したと語っています。
出向先で、与えられたポストで今の自分に何ができるのか?
今までの経験、キャリアをどう生かせるか?
そしてその仕事を面白味を感じながらやっていけるか?
同氏は「移すべき自分の財産、知識とは何なのか。それは成功の仕組みづくりとか海外経験、海外のメーカーとの交渉力だと思いました。」と語っています。
業界・業種は違えども、仕事の仕方、進め方などまさに「どのようにするか HOW」が財産であり知識であったわけです。
例え採算が合わない赤字事業だとしても自分に何ができるかを問い、しかも面白味を感じながらやろうとする姿勢。その働き方や考え方が、赤字会社を黒字化し、その後のプロの経営者への道につながったのではないでしょうか。
さらに同氏は、一課長から出向先での経営層になり経営を勉強したことがその後のキャリアに大きく役立っていると語っています。

企業の事情により出向を命ぜられる方はたくさんいらっしゃるでしょう。
しかし、「出向」をポジティブにチャンスと捉え、自分のキャリア開発にや大きく役立つ転機であると考えるだけで、出向先での働き方も大きく変わるはずです。

中高年に求められる専門性。
出向は、今まで培った知識や技術・経験をフルに生かせる場であり、
また別の専門性を取得できるキャリアアップの大きな転機だと考えられませんか。

(編集部)

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