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副業・兼業の解禁が加速する

副業解禁企業の増加

当サイトの「副業について/ウィズコロナ・アフターコロナ時代の働き方」の中で、これからの社会は一社就業依存ではなく、複数の仕事を多方面でこなす働き方が増えるだろうと紹介しましたが、現在、実際に「副業・兼業を解禁」する企業、特に大手企業が徐々に増え始めています。
もともと2017年に閣議決定された「働き方改革実行計画」により、テレワークや副業・兼業などの柔軟な働き方の実現が目標となり、2018年年明けには、政府は副業の有効性を認め、モデル就業規則の改正など積極的に推進していましたが、残念ながら、当初企業の多くは副業・兼業に対し消極的でした。
当初から積極的に取り組んでいたのは、ベンチャー企業やIT、サービス関連の企業のの一部で、メーカーや金融関連などの大手企業では、議論にもならないと言う状況でした。
しかしながら、平成不況から新たな事業への転換と企業内の人材の活性化、そして働き方の多様性の流れなどを受け、徐々に副業・兼業を認める企業が増えてきています。
実際にスタートした企業の多くは「副業解禁した企業は人材育成・社員のスキル向上、さらには優秀な社員の離職防止や採用面」など改めてそのメリットを感じ始めてきています。

そして当サイトの「週休4日、副業解禁の背景にあるもの」でも紹介した「全日本空輸ANAが副業を拡大し他社と雇用契約可能にする」と言うニュースは大きな話題となりました。
またロート製薬が社員が発案した「働き方宣言」を元にした社外チャレンジワーク制度を推進したことが注目されました。1つの会社だけでは個人の成長に限りがあり、外にも目を向けるべきであると言う考えです。さらにロート製薬では副業以外にも社内の複数の部署や担当を兼務する「社内ダブルジョブ制度」を設け、既に60人が活用していると言います。
参考■兼業解禁!会社の枠を超えた新しい働き方、ロート製薬の「社外チャレンジワーク」

そして新生銀行は、一人ひとりの強みや個性を活かした自律的なキャリア形成の支援策として、雇用形態や年齢によらず誰でも副業が出来る制度をスタートしています。情報管理・情報漏洩などのセキュリティの観点から難しいと言われてきた金融機関での副業を解禁したことは大きな反響を生みました。
参考■働き方改革 | 新生銀行

現在では、新型コロナウィルスの影響から業績面、人材面で課題から副業、兼業解禁の企業は増え、先行したIT系では、ソフトバンク、ヤフー、ディー・エヌ・エー、LINEなど大手。前述のロート製薬に加え、日産自動車、アイシン精機、デンソー、アサヒグループホールディングス、サントリーホールディングス、パナソニック、キヤノン、サッポロビール、富士通など有名メーカー。
あおぞら銀行、みずほフィナンシャルグループ、ゆうちょ銀行、SMBC日興証券など金融から、丸紅など商社も副業解禁しています。
一昨年は、2~3割と言われた副業解禁企業は、さらに増え続け、今年2021年は半数近くになるのではないでしょうか。

就職先、転職先としての魅力

副業解禁企業の多くが、社員のスキル向上、自社だけでない幅広い知識の習得、そして他企業の優秀な人材の副業での受け入れなど、優秀な人材の獲得にメリットを感じています。
もちろん企業側は副業による情報漏洩やブランド毀損、社員の働き過ぎによる健康管理などを懸念していますが、それでも自社にフィードバックされるメリットの方が大きいと感じています。
一方で働く社員の側にとって、今後の自身のスキル、専門性、あるいは資格取得など、働き方の幅が広がるとともにコロナ禍など先行きが不透明な時代にあって、複数の収入源、スキルを磨くことは極めて魅力的な働き方です。
さらにコロナの影響でのテレワーク、時差出勤などで、「働く場所、働く時間帯の考え方」に変化が起きているのも事実です。
終身雇用、年功序列型賃金制度が崩壊の方向に向い、ただ企業に属していれば安泰な人生ではなくなっている現在、こからは間違いなく「より個人の力が試される時代」に向かいます。

新卒採用で大学生が希望する就職先も、将来性、安定と同時に「副業・兼業の制度」「人材育成観」が注目されて来ています。
中高年の会社員も、これからの仕事、転職、転身、起業などに当たって、
◇現在の勤め先が「副業・兼業」に対してどうしていくのか
◇転職を考える場合、候補としての企業は「副業・兼業」をどう捉えているのか
を重視していくべきだと思います。
これからは、副業・兼業制度の有無が、社会保険制度、福利厚生のように、転職検討の大きな要素、項目となるのではないでしょうか。