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週休4日、副業解禁の背景にあるもの 

週休4日と同業他社での副業解禁

当サイトでも各所で触れてきた“新しい働き方”
終身雇用、一社就社型は過去のものとなり、企業と個人の関係が会社依存から、個人を軸とした“一企業ではなく社会の中での自己のキャリア構築”を求められる時期に突入しています。
まさにキャリアオーナーシップが重要な時代の本格的到来と言えます。
(参照 ※キャリアオーナーシップとは)
そして大手企業でも実際に大きな動きが出てきています。

みずほが週休3~4日制 希望者、自分磨く時間に(日経)
みずほフィナンシャルグループは、希望する社員が週休3日や4日で働ける制度を
銀行や証券、信託銀行に勤める計4万5千人を対象に希望者を募り、
12月から各社で順次スタートするという事です。

ANA、副業を拡大へ 他社と雇用契約可能に(日経)
全日本空輸(ANA)は従業員の副業範囲を広げ、勤務時間以外にほかの会社とも雇用契約を結べるようにする方針を打ち出しました。
パイロットや客室乗務員を含む全従業員1万5000人を対象とし、従業員がANAで働きながら他社ともパートやアルバイトなどとして雇用契約を結べるようにするということです。

「週休4日」「同業他社での副業解禁」と言った従来は考えもしなかった大胆な制度改革の話題で、他の多くの企業からも注目が集まっています。

大胆な制度改革に背景あるもの

ANAを始めとする空輸・運世業界は、新型コロナウィルス感染の影響から本業の業績悪化による影響は大きいのはご存知の通りです。
ANAにおいても海外渡航禁止、自粛、ステイホームの影響から、国内線・国際線の極端な減少を受け、一時自宅待機や新卒採用抑制、CAのお土産販売の話題も出ていました。

そしてみずほファイナンシャルグループの場合も、満員電車に揺られながら通勤することから、より柔軟な働き方に転換。
デジタル化で生まれた店舗の余剰スペースをサテライトオフィスに転用したり、業務の繁閑に応じて働けるフレックスタイム制の対象者を広げたりする方針での流れです。

一方で、「業績不振からくる単なる人件費の削減、リストラ策ではないか!!」と言う声もあります。
社員から見れば直接的に収入が減ったり、仕事が無くなったりするわけですから、そう考えるのも不思議ではありません。

しかしながら、この流れは他の大手企業も最重要課題と位置づけており、同様の制度改革は続くと思います。

元々大手企業の多くでは

□合併吸収や、サービス拠点の展開など規模拡大路線の限界、飽和状態
□日々変化するマーケット、ユーザーニーズ、市場環境への即時対応力の低さ
□メンバーシップ型雇用、社内教育だけの人材育成と即戦力化の限界
□IT、デジタル化の遅れ

などが課題になっており、その解決策として

□大胆な業務や組織の改革、効率化、スピード重視、サービスの多様化
□終身雇用の廃止、高度人材の獲得、外部人材活用、ジョブ型雇用への変換
□デジタル化、DX、AI活用による経営の高度化

が急務とされていました。

そして働く側の社員も
□会社依存意識、年功序列意識からの脱却
□通勤主体からリモート、副業など働き方の多様化に対応した個人のポートフォリオの設計
□自身のキャリア開発、スキルアップ、学び
□転職、転身、復職などキャリアデザイン

が求められていました。

新型コロナウィルス感染による業績悪化がキッカケになった部分は確かにあるとは思いますが、以前からあった大きな流れなのです。

みずほファイナンシャルグループは、増えた休日を活用し、資格学校や大学院、ビジネススクールで知識やスキルを磨くことを想定しており、ANAも副業の拡大で収入だけでなく副業で得た経験やスキルを自社の業務に生かしてもらう狙いがあるとしています。

これらは決して単なる人材削減ではなく、人材強化の方向だと言えます。もし削減なら大量の早期希望退職者募集で済むわけですから。

この流れを機に、自分の働き方、これからのキャリアををどう考えるかは個人次第です。
今後、大手企業、中小企業に関わらず企業で働く社員に求められる「働き方の考え方」。
個人に意識変革も求められてきます。