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ジョブ型雇用と営業職

営業のジョブ型雇用について

大手企業の中でメンバーシップ型の人材育成からジョブ型の雇用に移行する動きが次々に出てきています。
前回のトヨタの成果主義導入の記事でも触れたように、在籍年数やポジションでの評価よりも成果をメインとする直接的な評価を行う流れもあり、「職務を特定した雇用とその評価」へ変わってきています。

ジョブ型雇用は、職務を限定した雇用形態なので、制度導入にあたり具体的な職務内容や職務のミッションと中長期的な目標、そして責任や権限の範囲から、個人に必要な知識、スキル、経験、資格などを明確にし、従来のザックリとした職務、仕事内容を、より詳細に分析し可視化してい必要があります。
同時に職務の成果に対する新たな評価制度も導入、運用していかなければならず、統括する人事部門は大変になるのかもしれませんが、その制度の立案、全社導入、運用をどう上手くやり遂げるかもまた人事部門の成果評価という事になるのでしょう。

製造生産を中心とするメーカーなどは、研究職、技術開発職、製造関連職など職務や成果の可視化がしやすい職種が多いのですが、一方で経理、総務、管理部門など、個々人の成果目標やジョブディスクリプション(職務記述書)が作成しにくい仕事もあります。
特に難しいと言われているのが営業・営業関連職と言われています。
もともと営業職は成果評価が最もし安い職種と見られていましたが、専門的なスキルを持つジョブ型雇用の側面から考えるとスキル、能力、経験値など個人の独自性が高い為、職務として体系化しにくい面もあります。

そのような中、次のようなニュースが。
■SOMPO「ジョブ型」人事…成果で報酬 来年4月導入(読売新聞)
やはりトヨタ同様、年齢や勤続年数に応じた報酬を廃止し、ジョブ型雇用と評価に転じるようです。
S0NPOホールディングスと言えば昨年4000人の社員を介護ビジネスに異動させたことで話題を呼びましたが、今回のジョブ型雇用制度の導入も、事業の改革における大きな流れの一つなのかもしれません。

営業職の専門職化

損害保険業のメイン職種と言えば営業。同様に保険業界全体が営業系の職種に支えられています。
保険商品の販売がメインとなる事業スキームで、直販営業、代理店など営業網の全国展開によって成長してきた事業なので当然と言えば当然です。
損保には、商品開発(各種保険)、法人営業、個人営業、営業サポート、資産運用、リスク管理などの職務がありますが、何と言っても営業職の比重が圧倒的に高い人員構成です。生命保険業も同様でしょう。
これら営業系の職務をジョブ型で雇用し、成果中心の評価に変えていくには、単に目標と達成率などの目先の改定ではなく、そもそものこの営業系の人材に対する考え方から変えていく必要があります。
今後の企業の戦略に沿ったメインとなる人材(主流人材)はどんな人材でどうあるべきかを明確に打ち出し、社内外の納得共感を得ていくことが重要です。

SONPOホールディングスも既に、新たな時代に向けて人材についての考えを打ち出しています。
「安心・安全・健康のテーマパーク」実現のため、SOMPOグループを新しい人材集団へ(オフィシャルサイト)

お客さまの安心・安全・健康に資する最高品質のサービスをご提供し、社会に貢献する」ことを実現するために、当社グループを「新しい人材集団」へと変革します!!と表明しており、多様性(ダイバーシティ)、専門性(プロフェッショナリズム)、新たな働き方によるミッションの達成(ミッションドリブン)を人材の基軸としています。
詳しくは、サイトを上記ご覧いただければと思いますが、自律的なキャリア育成やスキルアップの為のプログラムなどより専門的な人材育成に向いています。

自社商品を販売する営業担当から、専門的な知識、スキルを有した総合的な提案者へ。
営業の在り方、求められる人材の両面からスペシャリストとしてさらにブラッシュアップさせていく狙いでしょう。
そしてSONPOホールディングスのジョブ型雇用の評価で興味深いのは、「転職した場合の市場価値などを参考に報酬を決める」ということです。

マーケットの変化、ユーザーニーズの変化、それに対応する自社の人材に求められるもの。
そしてその人材の市場価値。

単に商品を売ればよい、高い目標を達成さえすれば高額な報酬、といった自社内でしか通用しなかった昔ながらの営業職の在り方も、企業の改革、人材観の変化と共に変わっていくのではないでしょうか。