以前の記事「40代、50代、中高年の就活で最も重要なこと Part.3」では、
婚活男女の相手に求める要素のズレ(半端ない)をケースに、転職市場における中小企業と大企業出身者のアンマッチングについて触れました。
実際、現場では学歴・社歴・仕事経歴よりも、事業の実践的マネジメントスキルに重きを置いた採用活動が行われていますが、今回の新型コロナ感染騒動を受け、中小企業の経営も一段と苦しく起死回生の為に、より高度な人材採用を求める方向になることでしょう。
さらに「増える上場企業の早期希望退職」でもご紹介したように、従来の黒字リストラに加えプラスαの人員削減(コロナリストラ)が予想され、中高年の転職市場は、パイの増加と受け皿の厳格化の両面から、更なる競争激化が考えられます。
今後の転職活動においては、従来以上のスキル、知識が求められることでしょう。
その知識、スキルの一つが、現在話題になっている「テレワーク」「リモートワーク」に関するものです。
ご存知のように多くの大手企業がテレワークを導入し始めた現在、未だ導入に踏み切れずにいる中小企業が多いのが現状です。
「テレワーク導入で問われる中高年社員の仕事」でも説明しましたが、
ハード、ソフト、ツール、通信などのテレワークの為の環境整備や出社せずに働くことの労務管理に転換できなかったり、
「テレワーク導入で浮き彫りになる企業の今後(コロナ終息後に変わる働き方Part.1)」で紹介した「昭和的就業観」から未だ脱せない経営層など、導入できない理由は様々です。
テレワーク導入は、新たなワークスタイルであるだけでなく、個々の生産性アップ、業務の効率化、経営のスリム化など多くのメリットがあり、それは中小企業においても同様です。
そんな中小企業がこれから求める人材は、当然「テレワーク導入に関して見識のある人材」という事になります。
現在、自らテレワークやビデオ会議を経験し、その効果を実感している大手企業の方に、「話を聞きたい」「どうやって運用したらいいか聞いてみたい」と言う中小企業の経営者は多いのです。
テレワークスキルはやり方だけではない
中小企業向けにテレワークを推奨するIT関連業者は増えています。
ただインフラやソフト、ハードなど機器の販売や活用方法の提案がほとんどで、導入後の運用も保守が中心です。
本来、中小企業がテレワークを本格的に上手く導入する為に検討しなければならないことは、マネジメントなのです。
遠隔コミニュケーションを実現するためのITツールの活用。進行状況を確認しあう共有ツールや顔を合わせての会話を補うWeb会議、SNS、チャットなどの活用は当然の事ですが、
直接コミニュケーション不足による「報・連・相」がしっかり伝わっているか、確認してくれているか、などのメンバーの不安要因をどのように解消していくのか。
普段以上に、指示を明確に細分化して伝えたり、報告を受け正しくフィードバックするなどの工夫、細かさが求められます。
さらにテレワークでは業務状況を直接確認できないので、適切な評価が重要なポイントです。IT活用による勤怠管理だけでなく、成果評価をきちんと行うことが大切です。
ソフト、ハード、インフラ、そしてセキュリティなどについては、専門の業者に委託できますし、中小企業でもITに強い若手人材はたくさんいます。テレワークシステムの導入は任せてもいいでしょう。
しかし労働時間管理、業務の進捗状況の把握、そして成果の評価は現場のマネージャー、管理職の役割です。
これからは経営者にテレワークの導入を提案すると共に、効率化する業務の明確化、労務管理、評価、そしてマネジメント体制を合わせて提案できる人材が求められます。
現在、テレワークを導入している企業のマネジメントはどうなっているのか。
業務の進捗管理や評価はどのように行っているのか。
さらに管理するマネージャーの評価はどうなっているのか。
テレワークの本来のスキルは、ツールの種類云々ではなく、事業推進の角度から俯瞰して見て、その良さや問題点を理解していることなのかもしれません。