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事業承継問題を抱える中小企業に大手企業出身者が転職

中小企業の事業承継


以前から経営者の高齢化による中小企業の事業承継問題は各所で取り沙汰されていましたが、東京商工リサーチによる最新の調査で、中小企業で後継者が決まっていない「後継者不在率」は55.6%と、約半数以上の企業に及ぶことがわかりました。
(参照 : 2019年「後継者不在率」調査 / 東京商工リサーチ)
中小企業の多くは、経営者自身の高齢化や健康問題、跡継ぎ育成、さらには事業自体の将来性に対する不安など様々な理由から、事業承継に対し問題意識はあってもなかなか積極的に取り組めずに来ており、日本を支える中小企業の存続が危ぶまれる事態であることから、国の方(中小企業庁)でも現在様々な事業承継に関する支援を展開しています。
(参照 : 中小企業庁事業承継診断~10年先の会社を考えてみませんか?~)
事業を存続させるために、経営者が選ぶ選択肢は以下の図のように後継者の確保が第一優先であり、親族内、親族外からの承継となります。
事業承継
経営者引退後の選択肢 中小企業庁/中小企業白書より抜粋
特に親族外承継「外部からの招へい」に関しては上記の調査では、全体の14%が実施しており、事業承継問題が顕在化していない中小企業全体(400万社弱)で考えれば、今後何十万と言う会社が事業承継に「外部からの人材」を活用していくことも考えられます。

また東京商工リサーチの調査以外にも、民間のアクサ生命が行った6222名の中小企業経営者のアンケートでも、次へのバトンタッチを決めている経営者の約22%が親族以外の事業承継をと答えています。(参照 : アクサ生命「社長さん白書2019」pdf)

どちらのデータを見ても、現在後継者問題を検討中の中小企業の多くが親族への承継を希望していますが、実際は親族からの拒否や経営面の育成不足など様々な課題が浮き彫りになっているようです。
今後は経営者としての事業承継だけでなく、親族承継の為のつなぎ役、次期経営者のアドバイザー役として、経営能力の高い有能な外部人材への要望は高まってくるでしょう

経営層として転職


中小企業はこの事業承継が絡む外部人材の採用に、大手企業出身者を検討するケースが増えています。
大手企業出身でキャリアもある中高年の人材をあえて採用するのは、単に人材不足ということでなく、近い将来の経営者、または次期経営者へのアドバイザーとしての役割を求めているのです。
中小企業からすれば、経営層として高額な報酬と裁量・権限のあるポストを用意するわけですから、会社の事業に大きくかかわるそれ相応の役割を実践できる能力に期待するわけです。

ちなみに、親族への事業承継に重きを置いているのは中小企業だけでなく、大手企業に於いても同じです。日本の上場企業の約半数は同族企業で、ファミリービジネスと揶揄されるほどですが、その多くは役員に親族がいる程度であったり株主が創業家であったりするもので、経営層には内部昇格だけでなく外部からの親族外人材登用も積極的に行われているのは有名な話です。

このように企業の大小に関わらず、事業承継には親族・同族でない外部人材の登用が重要視されており、特に大手企業出身者の中小企業への転職は、求められ役割り、期待される成果などが明確で、それに対する報酬、ポスト、権限が付いてくると言うものです。

ある大手企業で営業マネジメント経験のあった転職者は、中小のソフトウェア企業に経営層として転職し、営業面以外に組織体制の見直し、若手人材の育成教育、採用など全般の業務を任され、転職後一年間、若手をマネージャーに昇格させるまで、3の部門長と7つの課のマネージャーを兼務したそうです。

大手企業出身者にとって、中小企業の経営と言うポジションは魅力的に感じるかもしれませんが、
経営層として転職し活躍することは、単に会社が変わるという事ではなく、
「仕事内容、役割り、求められる能力などか全く違う別のキャリアを歩む!!

と言う強い意識が必要のようです。

(編集部)



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