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【大手から中小への転職】中小企業インタビューvol.1

「中小企業に転職して活躍出来る人材とは!!」

株式会社金羊社 常務取締役 FP事業部長 立山恵子様

大手企業から中小企業に転職する人は毎年増えています。
職歴、経験など大手のノウハウを中小企業の経営にうまく活かすという角度から、今後人材の流動はさらなる活性化が見込まれます。
しかしながら必ずしも大手経験者が中小で上手くいくとは限りません。
長年、大手企業出身者を採用してきた(株)金羊社の常務取締役FP事業部長の立山恵子さんに、大手企業出身者の採用とその後の活躍についてお話を伺いました。

大手企業からの中途採用について

金羊社様では長年、大手企業出身の方を採用されていると聞いています。どのような感じで採用をされているのでしょうか?

立山恵子常務(以下敬称略) : 弊社では特に年に何名とコンスタントに採用をしているわけではなく、事業展開を踏まえた上で、「こんな職種が欲しい」と関係各位にオファーし紹介していただくやり方を採っています。
入っていただいた方は、平成に入ってからでは、10名以上はいらっしゃいますね。
最近では女性活躍の観点から、大手企業にいて結婚などで退職された方、応募される方も何人かいますし、現在も一人紹介を受けています。

具体的には、どのようなルートにどのような職種でオファーされるのですか?

立山常務 : 基本、業界内で大手の得意先や金融機関などからの紹介が多いですね。
もちろん、こちらの欲しい人材や時期と、先方様の紹介したい人材やタイミングとピッタリ合うことは少ないので、必ずしもスムーズに採用、入社に結び付くわけではありませんが、ご紹介いただける方については、極力お会いしています。
金融関係からのご紹介ですと、弊社管理部門や営業部門。メーカーさんからいらっしゃる場合は、営業部門ないし製造部門の人材として受け入れる感じです。

株式会社金羊社 常務取締役 FP事業部長 立山恵子様

どのような人がうまくいくのか

一概に「大手企業出身」と言っても色々な方がいらっしゃるかと思うのですが、御社で活躍される方に共通した特徴はあるのでしょうか。逆に上手くいかない方とはどのような方なのでしょうか

立山常務 : そうですね。元々いらっしゃったその企業でも、それなりにトップに近い位置というか、どのポジションにいたかどうかは重要だと思います。
例えば銀行で言うならば、支店長経験した方とそうでない方、二番手の方達がいらっしゃいます。
弊社に入っていただいた方のケースで言えば、支店長経験者の方のほうがどちらかというと、弊社の社員たちに「寄り添う」というか、私たちにとって色々なことを丁寧に対応して、一緒に仕事をしてもらっています。

実際に、その方は私の直属の上司として入られた方の話ですが、
会社の中では色々な業務改善をすることとか、特にメーカーなのでそういう活動をすることが良くあるのですが、
「こうやったらいいだろうな」と思うことを相談した時に、
「どうしたいのか」「なぜそうしたいのか」を丁寧に聞いてくれて、
「じゃ、やってごらんなさい」と全面的にバックアップしてくれました。

逆に二番手それ以下の方ですと、うーん、平たく言えば横柄(苦笑)というか、あちらは大手出身、弊社は中小企業という気持ちがあるのか、「上から目線」での言動や行動が多かったかなという気はします。

例えば、仕事や業務のやり方に対して、常に前職のことを持ち出してくるんです。
「前はこうだった」「だけど、ここ(弊社)はこうやってる」と。
そういうことって、比較することではないと思うんですよね。
その方の前職や職場がどんな感じだったのかは別として、絶えず枕詞のように「前はこうだった」「なのにここではこうやってる」と言う。
でも本来は、そうではなくて弊社のやり方が不十分ならば、その不十分なことを何故そうなのかをちゃんと聞いて、変えていくならいいのですけど、前の職場と弊社を比べて単純に違うというのはおかしいと思うんですね。
常に前の職場との比較をしての言動行動をする方はいらっしゃいましたね。
そういう方は、残念ながら弊社にいらっしゃっても長く続かず、退職されるケースが多いです。

大手企業の方でトップに近い仕事(支店長や部門長、課長など)をしていた人が活躍できるということなのでしょうか

立山常務 : 必ずしもそうだとは思いませんが、これは企業の大小関係なく、最終的に仕事というのは「人と人」でするものですよね。
ですから多分、大手でそれなりのトップのポストに就いた方や何人もの部下を動かした方たちは、「人のいいとこを伸ばしてあげよう」という気持ちがあるのだと思います。
ですから弊社に入社されてからも、そういう気持ちで社員に対し丁寧に対応していただいていると思います。

やはり会社って一番大切なのは社員だと思うんです。
人と人が一緒に働いて、その相乗効果で自分では気づくことのない良さを相手から言ってもらって、そしてさらに成長していくものだと考えるので、人と人、お互いに尊敬しあうまではいかなくとも、お互いに感謝をしあって仕事ができたら望ましいです。
そういう意味では、大手企業だろうと中小企業だろうと人として素晴らしい方っていらっしゃいますよね。
そういう方同士で仕事が出来たら、当人同士も幸せだろうし、会社で縁が出来たというのも幸せだと思いますね。

今後の採用、人材戦略について

今後も大手企業の方を積極的に採用してく方向でしょうか?

立山常務 : やはり、弊社のような中小企業が大手出身者に来ていただくメリットは大きいと思っています。
大手企業は人材が豊富というのがあるんですけれども、「組織」がきちんとなさっていますよね。きちんとした役割と組織体制で業務を進めていらっしゃいます。
その点、中小企業ですと業務の進め方は、良く言えばケースバイケース、悪く言えば行き当たりばったり。
大手はその点、きちっとした組織で動きますし。
そのような組織・役割で業務を進めるやり方やノウハウについて、私たち中小企業は学ぶところがすごく多いんです。
その中から、弊社で出来ることを取り入れていくことによって、昨日より今日、今日より明日と成長ができると思うのです。事業そのものもそうですし会社としても成長しますし。

受け入れる中小企業側には何が大切なのでしょうか?

立山常務 : 他社は解りませんが、弊社で言えば、入っていただく方に対しては、必ず「尊敬の念」から入ります。
どんな職種についていたにせよ、大手企業のノウハウというのをお持ちです。その企業も中小から大手企業になったわけですから。
そのノウハウの中から一つでも教えていただく、私たちは学ぶ、そういう姿勢でお迎えするという事がとても大事たと思うのです。
受け入れ側は、まずは「相手の良さを知る」ということが大事です。
人って、まず「嫌なところが目に付くか」と「いいところが目に付くか」がありますよね。
たとえば、最初に嫌なところが目に付いたとしても、こちら側はその人の良さは何かという事をこちらが解るまでは、その人の欠点に対してものを言うべきではないと私は思います。
ですから、最初はお互いに「良いところ」と「良いところ」で認め合い、話し合いながら進めていけば理解しあえると思っています。

もちろん入られる方も、受け入れ側も、誰だって最初は不安です。
新入社員なら、新人として見ますけど、大手企業にいた方の場合、ある程度の年齢で来られるわけですし、中小企業にはどんな社員がいるのか解らない中に入ってくるわけですから色々な不安があると思うんです。
人間ですから、初めての出会いで、しかも一緒に働くわけですから、両者とも不安があるわけです。
そういう意味では、お互いが歩み寄るという姿勢が大事なんじゃないかと思います。

今後の人材戦略についてはどうお考えですか?

立山常務 : 特に大手からの採用に限ったわけではありませんが、今後、自社の中の人材だけで行くというのは、良い意味で一体感はあると思いますが、環境の変化が激しい中に於いて、それだけでいいのかと思う所はあります。
大企業なら、環境変化に対しての色々な情報もあるし、対応策が考えられるのですが、中小企業の場合は、そういった情報や人材も限られてしまいます。
やはり、外からの刺激というか、新しいものを常に受け入れる姿勢を持ってなければ中小は生き残れないと思います。

さらに弊社も、世代交代の時期を迎えようとしてます。
60代の役員と高卒新入社員だと40才の差があるんです。この差をどうやっていくのか。
今の若い社員たちの考え方を意識しながら、うまくコミニュケーションを図って仕事を進めていくことは課題の一つです。
大手企業なら、年次でいろんな研修などで対応していると思うんです。
そういう経験を活かしてくれる方がいらっしれば是非オファーしたいですね。


インタビュー後記
立山専務のお話で特に印象に残ったのが「寄り添う」「お互いが歩み寄る」という言葉。
確かに、会社は人と人で成り立っているものであり、お互いに相手の目線に立ってのコミニュケーションが業務を円滑に推進していくベースとなります。
大手企業出身者が中小企業に転職する際に、最も重要なことは、そのコミニュケーションの重要性を認識しているかどうかであると感じました。
大手企業時代に、部や課内の皆で問題を解決し、メンバーを育て、その成長を自分のこととして喜んだこと。
その経験を、中小企業という全く違う土壌と風土、組織の中で先入観無くやれるかどうか。
転職成功のカギは、そういうところにあるように感じています。(編集部)

【株式会社金羊社】 
総合印刷会社。90年以上の歴史を誇り、エンターテインメント業界におけるパッケージ印刷をトータルでサポートし業界をリード。近年、水性フレキソ印刷に積極的に取組み食品の個包装パッケージ・飲料ラベル印刷などに展開を見せている。社員数293名 東京都大田区
https://www.kinyosha.co.jp/