前回の記事「40代、50代、中高年の就活で最も重要なこと Part1」では、
孫氏の兵法を元に、応募前に相手の企業について知ること、色々な角度で調べた上で応募することの重要性について紹介しました。
この流れで言えば「敵を知る」の次は「己を知る」ですが、
この「己を知る=自己の分析」に関しては、転職エージェントやコンサルなどが良く行う「今までの仕事の棚卸しによる自分の強みの発見」が当たり前のように語られていますのでその手のサイトを参考にしていただくか、当機構でも「自分のこれからの働き方を発見するためのワークショップ」を開催していますので、そちらにお問い合わせいただければと思います。(※キャリアオーナーシップ ガイダンスワークショップのご案内)
今回はその前に是非知っておいて欲しいことを紹介します。
中高年転職に於ける自己PR
余談ですが、読者の皆さんの中に大学生が就活に使うエントリーシートをご覧になったことがある方はいらっしゃるでしょうか?
人事部以外の方はたぶん少ないかと思いますが、社会経験のない彼らは、自己のPRをするために、あれこれ手を変え品を変えアピールしているのですが、そのほとんどが「えっ?」と首を傾げたくなるモノばかりです。
まず大学生向け就活サイトがエントリーシートの書き方マニュアルなるものや指導を行っているので、ほとんどが似たような表現になっています。
内容は、サークル、バイト、仲間、学祭、海外旅行など何をやったか、その経験を通して学んだこと、気づいたことのオンパレード。
本業の学業は? 専門は? と突っ込みたくなりますが、残念ながら講義や学術、勉強した専門に関する内容がほとんど見受けられません。
社会が求める専門性に特化した大学ならともかく、ほとんどの大学生が企業の事業活動やその意味や価値、具体的な仕事内容などを知らないのですから当然でしょうし、志望動機も相手の企業を表面的にしかとらえられないのも仕方ないでしょう。
よって自己PRに重きを置き、企業側も大学生に対しては将来性を踏まえた「人物本位での採用」にシフトせざるを得ないので、そういった内容になっているのかもしれません。
では、中高年の転職の際の職歴や経歴、自己PRはどうでしょうか。
もしかしたら、大学生のエントリーシートの単なる社会人版になっているのではないでしょうか。
例えば
・●●事業の立ち上げに従事
・××分野での新規開拓で成果
・社内〇〇改革委員として数々の制度を立案
・△△エリア統括としてエリア内事業拡大を推進
など経済紙に取り上げられた人物のプロフィールのようなものや
・〇〇部門で××年度売上げ全社NO.1、前年度比〇〇%達成 (これが結構多いようです)
など、その企業の中でしか評価されない実績と、あたかも一人でそれらをやってきたような自己PR。
若手の中途採用ならともかく、中高年、特に経営層・管理職レベルの採用に於いては、数多くの中途社員を採用し評価してきた大手企業人事担当や百戦錬磨の中小企業の経営者に通じるわけがありません。
もちろん以前の会社でどのような職務に就き、どんな実績を上げた人なのかは知りたいところですが、
「何をしたか」より「どのようにしたのか」の方に興味があり、
さらに自社に来ていただいたら、「何をどのようにしてくれるのか、しようと考えているのか」と言う考えを知りたいわけです。
「相手を知る」そして「己を知る」が、「相手を知らずに己を言う」になっているのではないでしょうか。
圧倒的当事者意識
さらに転職活動において、もっと重要なのが事業遂行者としての圧倒的な当事者意識です。
大手企業の中高年の方に多いのが、会社と個人を「雇用主と雇用される側」の関係でばかり考えるということです。
労基法の元で言えば確かにそういう関係になりますが、長年それに慣れ親しむと、
「会社に依存した雇われ感」みたいなものに固まってしまいがちです。
もっと具体的に言えば、転職時においても「管理職で採用してくれるところ」「給料××万払ってくれるところ」といった「雇ってくれるところ探しの観点」になってしまうのです。
中高年の転職が難しい、特に大手企業からの転職は難しいと言われるのは、この会社に依存した雇われ感から抜け出せないことが一つの大きな要因でもあります。
転職の際に「自分はこの会社で何ができるのか、何を与えることができるのか」そして「何を変えることができるのか」と言う当事者意識。
さらには、転職先の会社を「自分の会社である」「自分の部門、事業である」「自分が新商品を生み出す」そして「責任は自分がとる」と言う、圧倒的な当事者意識で相対することができるかどうかが重要なのです。
「その会社の管理職に応募するのではなく、その会社で何らかの事業をやりたくて応募する人」は、
受け入れる企業側も、「部長を希望している人ではなく、この会社の為に何かやってくれそうな人」と感じるのです。
もちろん、人物評価も、面接の会話内容も当然変わることでしょう。
(編集部)
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