求人情報サイトの現実
例えば中小企業が営業などの中途社員を募集すると、現在その反響はどのようなものだかご存知でしょうか。
ある大手の求人サイトでは面接前の書類応募だけで、数十名、多いと100名を超える応募があると言います。
もちろん、勤務地や労働条件、給与規定などで応募数が上下するようですが、平均すると何十名と言う応募があるのです。
しかしその応募者は、求人情報に年齢制限や性別を書けない為、欲しい人材層の応募は少ないようですが、驚くのは、40代、50代の中高年層の応募の多さです。
しかも名の知れた企業や、大手グループ企業などで現職の方も多く、職務経歴も立派なもので、自己PRに関しても熱いメッセージが書かれています。
受け入れ側の人事担当者のお話では、20代の若手営業マンが欲しくて、求人情報に若手未経験者向けのメッセージやコメント、教育制度、20代の給与例などを明記しているにも関わらず、なぜか、40代、50代の応募が絶えないと言います。
定期的に通年中途採用している別の人事担当者は、「中高年の方は、とにかくどこでも良いから、手あたり次第に応募しているのいでは?」「職務経歴書だけは立派なんですけどね」と苦笑いされていました。
色々な人材会社の中高年向けの就職活動に関する情報サイトでは、中高年の転職の大事なポイントとして
「転職に関する準備をしっかりしましょう」
「自身のキャリアを明確にしていきましょう」
などが多くアドバイスされているので、結果的に立派な職務経歴書や応募動機のPRを作成することに注力されているのではないでしょうか。
しかし、その前に最も重要なことがあります。
孫子の兵法
有名な孫氏の言葉に「彼を知り己を知れば百戦殆うからず(かれをしり おのれをしれば ひゃくせんあやうからず.)」と言うものがあります。
敵情を正しく把握し、自分の実力を正しく知ることで、負けない戦い方ができるという意味の諺ですが、中高年の就活で一番欠けているのがこの「敵を知る」と言う観点です。
「就職すること」に重きを置き過ぎて、やみくもに求人に応募する。通えそうな勤務地、希望する企業規模、(やれそうな)募集職種、福利厚生の充実具合などの表層的な情報だけで、相手の企業のことを充分に把握せずに応募することが果たして、良い就職活動と言えるでしょうか。
社会やビジネスを知らない大学生ならともかく、ビジネス経験15年以上の中高年が相手の企業のことを勉強せずして、自己PRばかりの職務経歴をだけで、上記のような担当者に「会ってみたい」と思ってもらえるのでしょうか。
事業や募集内容を吟味せず応募するのは、逆に失礼に当たるのかもしれません。
営業経験者の方ならわかると思いますが、商談の機会を作り、契約に持ち込むには
一方的自社商品PRより、相手企業の状況把握が一番重要なことは十分ご存知だと思います。
「敵を知る・相手を知る」
応募しようとしている先の企業研究を行い、その上で改めて自分がどこに力になれそうなのかをイメージすることが一番重要なことです。
企業研究については、求人情報だけでなく、その会社のホームページや、社名検索でマスコミに紹介されているもの、プレスリリースなどに目を通しましょう。
例えば
- 「設立年度・資本金・本社・事業所の所在地と言う規模的企業情報もですが、「企業理念・経営理念」が大切です。社会貢献、社会的位置づけをどのように捉え、どんな企業でありたいのかを知ることができます。
- 商品やサービスなどの概要、BtoB、BtoCビジネスなのか、取引先一覧があればイメージしやすいです。
- 組織図を見れば、その会社の事業展開の為に必要なセクション、職種などがイメージできます。
- 会社沿革などを見れば、商品やサービスの展開と、その時代に於けるマーケットの捉え方が見えてきます。
- また、人事制度、風土、教育、福利厚生などの項目は、従業員に対する会社の考え方が見て取れます。
- 業界内でのポジショニングや同業他社との差別化ポイントも重要です。特に差別化はその会社の特徴であり強みでもあります。
- グルーブ会社の有無、資本構成なども同様に、業界内での独自性を把握できる要素です。
- またCSR活動などの社会貢献、ダイバーシティーへの取り組み内容などもその会社の特徴が伺える内容です。
このように色々な要素で企業研究することで、漠然とした企業像が具体的にイメージできてきます。
その上で、自分ならその会社でどう役に立つのか、どこの部分で活躍できそうなのかをイメージし、就職したいかどうかを判断すべきだと思います。
相手企業のことを調べるにはそれなりに時間もパワーもかかります。
しかし知れば知るほど、自己PRの文言は変わるはずですし、もし面接に至った場合、
相手の会社にとって内容の濃い面談になるのは間違いないでしょう。
(編集部)
「40代、50代、中高年の就活で最も重要なことPart2」はこちら
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