ある人材コンサルタントの話によれば、大企業から中小企業への転職に関して、
退社後一年以内に中小企業に転職できるのが8割、転職後に半年以上勤務する人はその8割、さらにその転職先で貴重な戦力として活躍できる人はその中の2割、つまり全体の12%しかいないそうです。
良く言われる「大手同様の高額な報酬の要望」「役職などポジションの要求」などの要因は、そもそもの就職活動が上手く行かない阻害要因となっており、就職後に起きる問題とは異なります。
戦力として期待され、希望する会社に再就職できたとしても、なぜ続かないのか、活躍できないのでしょうか。
良いプライドと悪いプライド
自分の仕事に対して、自分に対してプライドを持つことは良いことです。
しかしながら「大企業にいたことに対するプライド」をなかなか消せない人が多くいます。
受け入れ側の中小企業の社員は、転職者が大企業にいたことはちゃんと認めながらも、「何をやってきて、何ができるのか」に注目し「自分たちの知らない新しい仕事やそのやり方を学びたい」「刺激をもらいたい」と自分達の成長も考えながら受け入れてくれます。
そんな時に、過去の会社や仕事の自慢などを持ち出したり、学歴や職歴ばかりを重視したり、仕事のできない部下を邪険に扱うような偏ったプライドは、そっぽを向かれても当然でしょう。
大手企業にいたこと、ビッグビジネスを手掛けたこと、それらは全て過去のものであり、転職先の中小企業で事業に貢献していく為には、考え方を一度リセットすることが必要なのです。
お客様、カスタマーを大切にする。
仕事は正確に報連相をこまめにやる。
スピードを大切にする。
どんなに泥臭い仕事でも楽しさやヤリガイを見つける。
取引先、カスタマーのニーズを把握する。
業界の動向を勉強する。
「どこにいたかより、どのような仕事のスタンスだったのか。」
「何を大事に仕事に取り組んでいたか」
「何が仕事の喜びなのか」
そういう働く姿勢と誇り、プライドを伝えていく。
雇われていたサラリーマンではなく、仕事を創れるビジネスマンであるかどうか。
そんなことが、周りに影響を与え、会社を変え成長させていくことにつながるのです。
マネジメントの勘違い
転職後に「少しでも早く活躍して評価を高めたい!!」
誰でも思う事でしょう。だからと言って、事を急いてはいけません。
特に部長、課長など役職で入った方は、マネジメント力を期待されており、期待通りにちゃんとやらなくてはの意識が強く、大手企業時代のマネジメント手法をそのまま持ち込もうとします。
再就職後に半年勤務できなかった人が多いのも、このマネジメント失敗の要因によるところが大きいのです。
中高年の再就職を難しくしている大企業病part2
の記事にもあるように大手企業の管理職が考えるマネジメントは、縦割り組織の中での小さなユニットでのマネジメントがメインです。
いわゆる「調整」「ネゴシエーション」または「火消し」のような役割です。調整型マネジメントと呼べるものです。したがって相手は社内で、会議や打ち合わせなど社内活動が中心になります。
一方で、中小企業が期待するのは、売り上げに直結する事業のマネジメント。
期の予算(目標)、売り上げ、原価、達成率、など数字をメインにしたマネジメントです。
極論すれば大手企業の営業統括部門長、配下のセクション長、販売会社の統括部長、現場の営業所長などの仕事を全部まとめて規模を小さくした形のマネジメントが必要とされるのです。
相手は社内ではなく顧客やマーケット、取引先。
そのために社内の先導役になる。そして数字を作るためにどのように組織を動かすか。計画性、戦術と実行力、そういうマネジメント力を求められるのです。
「あの人がトップなのは不安」
「あの人の下ではやる気が出ない」
と思われては、転職先からも肩をたたかれかねません。
その会社の商品サービスを知り、事業構造や流れを知る。
そして何よりも働くメンバー達一人一人の思いや状況を把握しモチベートしていく。
そこから、本当のマネジメントが始まるのです。
(編集部)
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