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中高年の再就職を難しくしている大企業病 Part 2

前回の記事で、多くの中小企業の経営者が言う「大手企業にいた人は使えない」という言葉は、「大企業病にかかった会社にいた人は使えない」または「大企業病にかかっている人だから使えない」という意味でもあると書きましたが、
そもそも大企業病とはどのような事象を言い、それにかかるとどのような考え方や価値観になるのか。よくあるケースを見ていきます。

縦割り組織

どのような企業でも事業拡大に当たっては、合理的組織による役割の明確化が重要となります。
大手企業の多くでは、組織化された各部門は、計画の着実な遂行と進捗管理、時間の有効利用や無理無駄の排除による効率化や合理化など多くのメリットを生み出し、製造生産、売り上げ拡大に寄与してきました。
特に目的別に編成された縦割りの組織は、さらに専門的に細分化され、部門、課、チームそれぞれのミッションの元、半期・通期の目標を達成する為の戦術実行とプロセス管理を徹底し成果を上げることが評価対象の大きな要素となっています。

「●●株式会社 ××事業本部 △△事業部 □□支店 ●●営業所 ○〇課 ××チーム △△担当リーダー」
よくある大手企業の社員の名刺に書かれている所属名や役職名は、良く見るとその企業のどの事業の何の役割を担う人なのかが明確に書かれているのです。

しかしながら、合理的かつ効率的な事業拡大を実現するために組まれたこの縦割りの組織体制は、同時に中で働く社員達の思考や働き方に様々な影響を与えています。

縦割り組織からくる弊害

縦割りの組織とその配下にあるさらに細分化された専門のユニットで長年働くと、自分の担当する仕事にのみ目が行きがちで、そもそも所属している事業全体のこと、業績、マーケット、顧客、今後など事業全体を客観的に見るという習慣がつかなくなります。
自分の日々の仕事の評価が細分化された事業の一部分である以上、そうなるのも当然かもしれません。
そうするうちに、自分の仕事さえ上手くいけばそれでいい、自分のポジション(居る居場所)さえあればそれでいいと言うセクショナリズムに陥ってしまうのです。

これは個人だけでなく、チームや課、部門に至るまで影響します。
自分たちが担当する職務に関して、他の部門の人間が関与することを嫌い、組織全体の利益・効率性を無視して自分たちの都合ばかりを優先するというもの、いわゆる「割拠主義」と呼ばれる現象です。
部門のセクショナリズムは、結果的には組織全体に不利益をもたらす現象です。

そしてこのような考え方、風土で仕事をしていると以下のような事柄が当たり前のように感じられます。

他の部門、課、チームのことに口出ししない。
うちはうち、他所は他所と言う考え。結果的に他所に対しては事業の為にプラスの提案でも言えず、逆に事業のマイナスになっていることにも口出ししなくなります。

横のコミニュケーションが無くなる
役割りが個人、チーム、課、部などで明確になればなるほど、他のメンバーやチーム、課や部とのコミニュケーションは薄れ、指示、報告と言ったユニット内の上下間コミニュケーションのみになっていきます。

全体のことや他の部門のことは考えずに済む
担当している仕事に関して以外は考えずに済むため気づかぬうちに視野が狭くなり、他の事業や部門に関心が湧かず、会社全体のことを考えなくなります。

意思決定が遅い。
縦割り組織は、会議での決定や稟議など形式を重んじます。
良く言えば「全員一致の上」「石橋をたたいて、、、」悪く言えば「責任の分散化」「ことなかれ」です。その結果、多くの定例会議や、多方面への稟議、社内向け多くの報告書や資料などが必要となり意思決定が遅く、プロセスに無駄が生じてきます。
決断決定を自ら下さず、会議を経て慎重に進めるということが当然だと考えてしまいます。

このように縦割り組織や風土が生むものは多々ありますが、長年その職場で身についてしまった考え方や価値観はなかなか変えることはできません。

しかし考えてみてください。貴方がもし会社の社長だったら、
「他の事業に口を出さず、会社の今後を一緒に語らず、やたら会議と報告書や形式を求める元大手企業社員」を欲しいでしょうか?
一緒に会社を発展させてくれるメンバーとして来て欲しいでしょうか?

転職や次のステップを考えるのなら、経験した縦割り組織の弊害を反面教師として、全く正反対のものへチャレンジしていくぐらいの気構えが必要だと考えます。

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