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大手企業 希望退職者募集が短期スパンで本格化

希望退職者募集が本格化してくる

9月から10月に入り、新たに希望退職を募集する企業の話題が増えてきています。

東芝がシステムLSI事業から撤退、770人リストラで150億円の固定費削減(IT MONOist)
□三菱自動車、希望退職550人募集…本社など45歳以上の管理職中心(読売新聞)
□ミツバの希望退職に549人 経営体質を強化して立て直しへ(上毛新聞)
□ワタベウェディング、希望退職120人 直営11店閉鎖(日経)

東芝は事業(LSI)自体の撤退に関連しての人員再配置と削減から。
三菱自動車は新型コロナウイルスの感染拡大もあって業績が悪化いることから、本社や岡崎製作所(愛知県岡崎市)、水島製作所(岡山県倉敷市)などで勤務する45歳以上の管理職を。
自動車電装部品製造のミツバは経営改善のために進めていた希望退職者の募集プログラムに、グループ会社と合わせて計549人の社員が応募。
ワタベウェディングは新型コロナの影響による婚礼の延期による収益悪化からの店舗閉鎖。
これらは一例ですが、具体的に発表せずに内々に少人数の人員削減をする企業もあり、具体的社数や人数はもっと多い数であることが予想されます。

9月は多くの企業が中間期決算を発表する時期であり、実際の状況を見て、当初の2021年3月期決算の予測との兼ね合いから再度計画を立て直す時期でもあります。
赤字決算を回避するための更なる経費節減やコスト削減に乗り出す企業も増えるでしょう。
これから発表する企業もあるでしょうし、10月からの第三四半期の業績の推移次第では、12月に向けて発表する企業も増えてくると思います。

先だって東京商工リサーチが発表した9月半ばの上場企業早期希望退職者1万人越えのペースは、年末にはどれほどの数になるか予想がつかないほどです。

希望退職者募集の大まかな流れ

通常企業が業績等の要因から早期希望退職者を募集する際、計画から実行まで最低半年ぐらいかかると言われていました。
一例で言うと
・事業計画、撤退、再編などの計画から、人員体制をプランし、現在の人員と比較した上で、新たな人員配置や余剰人員の計画作成。
・同時に希望退職の条件や、再就職斡旋業者などと導入のスケジュールの立案。
・割増退職金のルールや総額予想など人員整理にかかるコストの見通し作成。
・計画が出来上がると社内外に広報。募集の告知。
・応募者との個別面談開始。
・面談状況把握、数の集計。
・再就職支援説明会の実施及び個別指導。
・募集締め切り。応募者確定。人事資料作成(離職関係)
・応募者退社後の組織、部門の調整、再人員移動。
などのプロセスですが(この手順でない企業も多い)、裏方の作業まで入れると大変な業務になります。
さらに、応募人数が予定に満たない場合など対象者に対する複数回の個別面談などを行ったり、対象外の若手社員の応募への対応や、対象者退社後の部門の運営体制の検討など、
人事部門だけでなく他部門のメンバー、外部業者を入れたプロジェクトとして推進する企業も少なくありません。
このようにとても1、2か月で済むことではなく、半年から1年かかる場合もあり、二次募集を行った企業もあります。

今年のコロナ禍の中の早期希望退職者募集は、3か月など短期スパンで行う企業が多いのが特徴です。募集開始から締め切りまでのスパンが短いのも特徴です。それほど、急を要して切迫しているとも言えます。

第三四半期12月、来年の決算期3末に向けて、今水面下で動いている企業は多いでしょう。
他社の動向を見ながら、関連会社、グループ会社と相談しながら、発表のタイミングを様子見している企業もあるでしょう。
「あそこ大変だなあ」と他人事で考えず、
いつ自分の会社もそうなるか解らない経営環境にあることを自覚し、いざと言う時の為に準備しておいた方が賢明だと思います。

【参考記事】

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