前回の記事「不採算事業の撤退とコスト削減。人材(人財)をどうするのか」でも触れたように企業の決算発表が大幅に遅れ、上場企業の役8割が、減益、減収。
今後不採算事業からの撤退、設備縮小や全体的コスト削減など、増益と企業体質の強化を目指し、抜本的な構造改革にいち早く取組むことを公表していますが、一方で今期(新年度)の目標目標について、その設定のやり方を従来通りの方法では難しく、新たな設定のルールを模索している企業もあり、未だ新年度目標を公示していない企業もあります。
不採算事業の撤退だけではなく、従来の本業、メイン事業でさえ先が見えない状況にあり、新規の事業も未だ見通せない状況であれば、具体的な目標の設定に苦慮しているのは当然のことと言えます。
当面は早々に着手できる戦略・戦術を元に、四半期、また月次ベースでの目標設定とその成果を踏まえた修正を繰り返していくと言うやり方を採る企業もあるようです。
いずれにしても新たな目標に対して前向きに取り組んでいくためには、新たな組織マネジメントが求められます。
先行き不透明な状況にあって、個々人のモチベーションを高め成果を上げて行くためには新たなマネジメントに沿った人事評価も求められます。
さらに管理者(職)が組織の新たなマネジメントを推進するにあたっては、いくつもの課題が待ち受けています。
以前の記事「人事制度は変わる(前編)」「人事制度は変わる(後編)」で紹介したように
◇メンバーシップ型雇用から、必要な専門分野のエキスパートの中途採用や、事業展開に伴う専門知識・スキルのある若手人材のジョブ型雇用に変わり、人事制度設計もそれに合わせて変わっていかにければいけないこと。
◇また、若手社員に見られる昇給・昇格、出世することがキャリアにおける成功と言う価値観の減少。「自分らしく働きたい」と言う個人の価値観は多様化、昇給昇格・出世意欲の薄い社員達に十分に戦力になって活躍してもらうため必要なポストや賃金に変わる報酬をどうするのか。
◇そしてウィズコロナで今後益々増えるであろうテレワークと言う働き方を受けての、従来の勤務態度や時間などの管理、社内コミニュケーションによる業務の現状把握などをどのように変えていくのか。
これらを踏まえた新たな人事評価制度の設計、運用の上でのマネジメントが重要になってきています。
新しい管理職になる
現在管理職(者)の立場にある方の多くが、大小縦割り組織の中で役割を持ったセクションの長として活動されていると思いますが、メンバーシップ型で採用され、従来までの評価制度によって昇格されてきた方がほとんどではないでしょうか。
また良くある「過去の自分の上司のマネジメントのやり方を踏襲」されている方も多いことでしょう。
しかしこれからは社会も企業もそして事業自体も、いち早い変化と市況に合わせた柔軟な対応力を求められることは薄々実感されているでしょう。
さらに現在は上記のように、専門職、エキスパート社員の増加、価値観が多様化している若手社員、そして出社、勤務の概念を変えるテレワークなどをまとめてマネジメントしていくことを求められます。
そもそも従来のマネジメントの様々な方法論や人事評価制度は、高度経済成長期、バブル経済、リーマンショックなどの昭和・平成の経営環境の変化を受け、先人たちがその都度時代に合わせて創り出してきたものであり、決して普遍的なものではありません。
ウィズコロナで変わるこれからの社会と経済に於いては、企業の構造改革も今回一度きりではなく、変わる環境に合わせ都度都度求められるでしょう。
そのような状況においては、事業や組織マネジメントと評価も常に変化し再考することが求められます。
「これからのマネジメントはどうすればいいか」
残念ながら明確なマニュアルはありません。
しかしだからと言って、悲観することはありません。
状況を見ながら、その時その時で一番ベストと思うマネジメントのやり方を考え続け、そして実践する。
当然、上手くいかないことも多々あるでしょう。
しかしそれがこれから求められるマネジメントの形であり、マネジメントのニューノーマルになるのではないでしょうか。
ちまたには、テレワーク、若手社員、専門職のマネジメントに関する参考情報も多く出てきています。
全てが正解と言うわけではありませんが、参考になるところは参考にして取り組んでいくことが肝要です。
変わる企業、新たな働き方には、新たな管理者像が必要です。
これから、時代に沿った新たなマネジメントを実践する管理職のニューノーマルが生まれていくと思います。