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人事制度は変わる(前編)

タイトルは人事制度ですが、決して人事担当者向けの制度設計の話ではなく、働く私たち側にとって、これから求められる働く環境と、その中の人事制度はどう変わっていくべきかと言う点についてご紹介していきます。

ここ数年、多くの企業の人事制度が制度疲労を起こし、これからの時代に合った新たな人事制度設計を模索しています。背景にあるのは日本経済の成熟を迎え、以前のような経済成長が見込めなくなり、各企業も売上か伸び悩む中、人件費だけは上昇が続くという状態にあるからです。
新たな人事制度に関しては、企業は以下のような観点から検討を始めているようです。

メンバーシップ型採用を軸にした人事制度の限界

当サイトでも何度も触れましたが、終身雇用、年功序列による制度は限界を迎えています。
とは言えまだまだ多くの日本企業では年功序列型の人事制度をとっているケースも多く、
在籍年数や年齢と役職が賃金と連動しています。

それは今までは何も知らないフラットな新人を様々な業務に就かせ、転勤や移動、関連会社への出向などを通して浅く広く会社の業務に精通するゼネラリストを育成する為には都合のいい制度だからです。
仕事は上から割り振られ特別な能力やスキルが無くとも、企業内研修やOJT教育で仕事に対応する力をつけていくことが可能でした。人事の評価もいわゆる「査定」を中心としたもので、査定により評価と昇進、昇給で成果を管理することが社員の仕事、行動、或は言動も含め管理しコントロールする為に役立ちました。

しかしながらご存知のように近年の企業の人材に関する動きは大きく変化しています。
特に優秀な人材の獲得において、高額の報酬提示による専門職の中途採用や、技術系新卒の積極採用など専門性を重視し、勤続年数やそれまでの貢献度とは関係ない賃金体系を取り入れ始めています。しかも各企業、社員両方とも長期間の雇用を前提としていないことが特徴です。
今後、必要な専門分野のエキスパートの中途採用や、事業展開に伴う専門知識・スキルのある若手人材のジョブ型雇用に変わり、人事制度設計もそれに合わせて変わっていくことでしょう。

働く価値観の変化への対応

出世しなくていい、昇給しなくても今のままでいい、と言う若者たちが増えてきている話は聞いたことがあると思います。
実際にそのような若手メンバーのマネジメントで気苦労の多い管理職の方も多いことでしょう。
日本生産性本部が毎年行っている、新入社員に対する「働くことの意識調査」(日本生産性本部平成31年度)を見てもその傾向は顕著です。
働く目的では、「楽しい生活をしたい」が「経済的に豊かな生活を送りたい」よりも上にあり、働き方に関しては「人並みで十分」が約6割、「人並み以上に働きたい」は減少しています。
また、昇進に関しても、最も多かったのは「専門職<スペシャリスト>」、続いて「どうでもよい」です。
親世代が聞いたら呆れかえりそうな結果ですが、間違いなく昇給・昇格、出世することがキャリアにおける成功と言う価値観は減少し、「自分らしく働きたい」と言う個人の価値観は多様化していきます。
しかし従来の人事制度は昇進や役職と賃金が連動しているので、昇給昇格・出世意欲の薄い若者達に十分に戦力になって活躍してもらうためには、ポストや賃金以外の報酬を考えなければなりません。
仮に出世意欲の薄い若手社員達を上手く戦力化できず、後10年、20年、同じ仕事で在籍すれば、生産性の低い中高年層が一気に増え重い人件費になっていくことになります。

彼らが望む、専門的な仕事、自分の得意な仕事でどのように活躍してもらうか。企業の成長に結びつけるか。新たな制度設計と経営側と社員の両者納得の運用が求められるでしょう。

コロナ禍がもたらすもの

そして、今コロナ禍が企業の人事制度にも大きく影響しています。
テレワークの導入により、仕事の評価軸にある「行動評価」をどのようにするのかが問われ始めています。
こちらに関しては、次回の記事で触れていきたいと思いますが、
いずれにせよ従来の人事制度は大きく変えていかなければ、企業自体も生き残れないでしょう。早ければ今年の秋の前半期、遅くとも来期には、新たな人事制度を発表する企業が出てくるのではないでしょうか。(後編に続く)