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働き方の再構築 -脱サラをしてフリーとして独立-

新潟県 Iさん 40歳 大手広告関連 → 独立 フリーデザイナー
会社を辞めて転職せずに独立。そう考えている方も少なくありません。インターネットの発達により時間と場所を選ばない働き方「テレワーク」が様々なところで導入されています。フリーとして独立して会社に縛られことなく本当にやりたい仕事をやる。今回はそんな体験談です。

フリーで仕事を考えている方、独立を考えているサラリーマンも多いのではないでしょうか。しかし現実的には、会社を辞めて独立するのは非常にリスクがあります。何より「フリーで食べていけるのか?」という不安があるため、その一歩を踏み出せないケースも多いでしょう。

「会社員として優秀」で一生を終えるのか?

私はこの2018年4月にサラリーマンを辞め、フリーランスとして独立しました。様々な苦労はありましたがなんとか生計を立てられるようになりました。フリーランスでデザイナーとして独立した理由は何かドラマチックなきっかけがあったわけではありません。そもそも私は大学を卒業して社会人になってからずっと「サラリーマン」というものに違和感を持っていました。会社から決して評価されなかったわけではありませんが「自分のいう存在が求められているわけではない」ということに対して、私は寂しさのようなものを感じていたのかもしれません。会社が求めているのは「労働としての成果」を必要としているというあたり前のことに不満を感じていました。私は「会社員として優秀」であるよりも「自分という存在や能力を社会に認められたい」という欲求が他人より少し強かったのかもしれません。

プレイヤーでなく、中間管理職としての生活

「時間の問題」もあります。私がサラリーマン時代に欲しかったのは仕事に集中できる環境でした。30代にもなると中間管理職を経験する人も多いと思いますが、「部下を持つ」というのは自らの人間性を高めてくれるものでもあり、同時に自分の時間を部下に奪われるということでもあります。私の経験した中間管理職での1日は、出社して上司の方向性を伺い部下の仕事をチェックすることに大半の時間を費やすことになり、自分の仕事に集中する時間はほとんどありませんでした。結局仕事は家に持ち帰らないと納期に間に合いません。そんな生活をしていると、自分でも意識しないうちに疲弊し不機嫌になってしまっていたのです。その道のスペシャリストになりたいという考えを持っていた私には、そのようなサラリーマン生活はとても受け入れられるものではありませんでした。

人生を再構築する

「人生100年時代」ということが最近ではよく言われるようになりました。日本の会社でサラリーマンをやっていくとどうしても「退職」というものがあります。私の父が会社を退職したのが60歳でしたが、その頃でも社会貢献できる仕事の能力は十分にあると思いました。幸い父には農業という「退職」のない仕事が実家にあったため、70歳になった現在でも現役で働き続けています。私は、そういった姿を見て「何か特化した能力を持っていれば何歳になっても働き続けることができる」と気づきました。そうした能力を身に付けるには会社員でなく、フリーランスが適していると判断しました。

画像はイメージです。写真提供PIXTA

インターネットが地域差を払拭した現代

インターネット社会が実現したことでテレワークが活用されるようになりました。その結果、「地域」に依存しない働き方ができる社会になりました。人の集中する都内でしか仕事が発生しないという社会からの大きな変革です。私は実家の近くに安い事務所を借り、1人で仕事を始めました。仕事の受注はインターネットを通じて行います。日本中、世界中の仕事案件を受けることが可能です。通信手段は、メールとLINEなどを使用し、必要があるときにだけ電話での打ち合わせを行います。サラリーマンの時と違い、働く時間を自分の裁量で決められることは大きな喜びでした。通勤にイライラすることもなくなりました。
また、仕事の受注にも自分で決定することができます。サラリーマン時代には上司の命令は基本的には絶対であり「その仕事はお断りします」という発言は到底出来ませんでしたが、その裁量も自分で決定することができます。これらの自由さを得たことにより、私の生活や仕事に対する気持ちは非常に前向きになっていったのです。

フリーランスでの仕事の受注

インターネットサイトで仕事を受注すると、その案件報酬の2割が手数料としてサイト運営者に支払わなければなりません。しかし、私にとってこのことは致命的なデメリットとはなりませんでした。なぜなら、仕事仲介サイトは「報酬金の回収」を行ってくれるからです。フリーランスにとって支払いの管理は極めて重要であり、その未払金などの回収は非常に手間ですし、リスクの大きいものです。その回収を徹底管理し、安心して仕事ができるのであれば2割の手数料はむしろ安価とも言えます。
また、フリーランスでは経理業務も自ら行う必要がありますが、その記録もサイトの個人ページを見れば一目瞭然に管理されています。これがどれほど有難いシステムか独立をお考えの方であれば容易に理解出来るのではないでしょうか。

フリーランスという選択

もちろんフリーランスという職業は収入が安定しないという欠点もあります。
独立する前に私も家族にその点において大反対を受けました。しかしながら、自分がやりたいことが明確にあるのであればサラリーマンという枠にこだわらず「働く」ということを再度検討してみるのもいいかもしれません。フリーランスという職業は自由です。私は、自分のやりたい仕事を自分の人生でとことん突き詰めて挑戦したいと思っています。


【質問1】Iさんにとって、仕事とは?
「自らが積極的に世の中の役に立ちたいと思ったときに、使う手段」です。仕事とは、基本的にはポジティブなものであると思っています。
【質問2】キャリアオーナーシップについてどう思いますか? 
今までの日本では「会社で能力を発揮する」ために会社に鍛えられるという考えだったものが、これからは「社会で能力を発揮する」ために自分をどうするか、ということを自ら考えていく時代なのだと思います。