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中高年サラリーマンの転職活動における「経験者優遇」

コロナ禍における企業の事業再編や業態転換、多角化などを受け、中高年人材の転職が活性化してきているのはご存知の通りです。
特に大手企業においては、40歳以上をターゲットにした早期希望退職者募集、キャリア研修による転職の奨励、さらには副業解禁や、今年に入っから増加している在籍したまま外部出向など、様々な制度により人員調整や人件費コスト削減が進められています。
参考
コロナで雇用過剰の企業が生き残るための「在籍出向」という選択肢(ダイヤモンドオンライン)
コロナ禍で航空大手2社 外部企業への出向社員 増加(NHK)
一般的に中高年の転職市場は厳しいと言われますが、それなりの知識や経験、スキルが有れば是非来て欲しいという企業(特に中堅、中小企業)に多いのも事実です。
そのために、人材エージェントなど多くの人材関連の会社が対応をしており、企業から再就職の斡旋を依頼されたり、個人からの申込みに個別に対応しています。

会社都合で退社を余儀なくされ次の就職先を探す方、現在の会社に見切りをつけたり、次のキャリアのために自ら進んで転職する方、どちらも転職活動をしていく中で考えるのが『出来れば自分の経験が活きる仕事』と言う観点です。

正社員であれパート、バイトであれ、どの採用においても昔からあったのが、『経験者歓
迎』『経験者優遇』という表現。

応募資格の欄にある「〇〇資格者」「△△ツールの使える方」などの限定したものではなく、ざっくりとした表現で、業界や業務に関する経験の有無を問うものが多いようです。
もちろん募集企業の業界や業種、求める職種の経験の有無を問うものですが、あくまで優遇、歓迎なので絶対必須条件ではありませんが、「優遇、歓迎」とあれば業界や業種、その職種の経験者が応募先として検討することは多いでしょう。
従って応募書類や自己PRの書類にも、〇〇経験何年、何々部門での仕事何年などPRしている方は多いようです。
一方の募集側の企業にしても中途採用の場合、採用したい人材が明確なので、配属するセクションで即戦力として活躍できるかがポイントとなり、採用活動では関連ある実務経験の経験者に絞込り込みたいというのは当然のことと言えます。

しかしながら、企業が求める経験があるから採用されるかと言うとそうでもありません。人材関連の方、人材エージェントなどの話によると、全くその業界の経験も無く、部門のことも知らない人材でも採用されるケースは意外に多いといいいます。
若手の専門職採用においては、同業種や類似した業務の経験者をメインに考えますが、中高年のリーダー職、管理職などの採用においては、全くの別業界、別業種の人材をサウ要するケースも多いようです。

それは、企業が求める『経験の中にある要素』と、応募者がPRしたい『経験の要素』とのギャップのようなものなのかもしれません。

経験者優遇、経験者歓迎の内容

専門職の採用においては、知識の深さ、技術的な経験値やツールなどの使い方の習熟度を見る場合が多々あります。
例えば経理であれば日常の経理業務はもちろんのこと、決算業務などの経験や専門のソフトウェアの使いこなしなどは評価対象として高く、入社後に給与やポストなどで優遇されることはあります。専門のエンジニアなども同様で、業界内での一般的な技術の習熟度、経験年数を尺度に評価されることが多いです。

しかし、総合職での募集、例えば営業部門や管理部門のリーダーや管理職、新規事業や経営企画などの仕事、宣伝・広報などの仕事の募集においては、求める経験が企業によって異なるケースが出てきます。

募集広告などには「△△部門リーダー経験者」「〇〇事業責任者経験者」「新規事業立ち上げ経験者」など記載されていることがあります。
確かに☓☓部門で仕事をしていた、〇〇のリーダー、〇〇の課長、部長を何年やったとか、売上何%アップさせたとか、支店を任されたとか、何十人のメンバーのマネジメントをやったとか、などのPRは一見して魅力的に見えるのかもしれませんが、企業はそれらの経験を求めているのではありません。

一番は「どのようにして」の部分です。
チームや部門の業績アップにしても、新規事業の立ち上げにしても、大人数のマネジメントにしても、広報宣伝の仕事にしても、応募者が「それらをどのようにしてやっていたのか」という実現のための手法や「なぜその方法を採ったのか」という課題解決のための現状把握力、そして「誰とどうやって成したのか」と言ったコミニュケーションやマネジメント。そういう部分を知りたいのです。
さらにはそれらは社内で古くからの慣習なのか、自分で考えてやったことか、外部パートナーを活用して成し得たことなのかなども知りたいところです。そしてその「どのようにして」が自社でうまく活かされることがメリットになるかどうか、今後必要かどうかと言う点を検討します。

「即戦力な人材」とは入社後すぐにでも何らかの成果を出す人材です。
自社の課題を発見し解決に導いてくれる人材。すぐにメンバーの信頼を勝ち取れる人材。
そのような人材は、同業界や同業種での経験がある必要はありませんし、その経験も年数で図れるものではありません。
参考 ■40代50代の転職 転職先の業界を考える

ジョブ型雇用に変わっていく現在の流れにおいて、「人に仕事をしてもらう」から「仕事に人をつける」という形に変わっていきます。
個人によってノウハウが変わるような属人的な働き方は見直されていきます。
そういう意味では、「どのようにして」の経験を多く持つ中高年層にとっては、一見すると仕事が属人化しているように見えますが、実はそれは高度なスキルなのです。

経験者優遇の「経験者」は、職種やポストの年数のことではなく、事業遂行のための高度なスキルのことです。
欧米では、GMゼネラルマネージャーはポストではなく職種という認識です。よって成果がでなければ契約終了はよくある話です。
日本においても、企業再建のために社長、事業責任者TOPが外からやってくる話が増えてきています。

経験者優遇、経験者歓迎。
どんなスキルを持ち何ができるのか。
言葉の裏にある企業の背景をイメージすることで、自分の経験の中のスキルを活かせるステージを見つけ出せると思います。