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会社を見る物差し 転職意思決定の基準

前回の記事「オリンパスの早期退職募集に見る事業分野選択と人材」において、昨今の短期間での希望退職者募集は「中長期事業計画と言うよりも急激に悪化している不採算部門の縮小による当面の利益確保のための策」であり、本格的な事業転換や新分野へのシフトは、人材の教育、適材適所の移動や配属、専門職の新規採用、そして新たなマネジメント体制の強化など様々な人材戦略が重要で時間もかかると書きました。

そんな中、こんなニュースが
「年収3割増」日本電産が打ち出す…待遇改善で人材確保

この時期に、「年収3割増」とは何と羨ましい会社でしょう。
しかもITやベンチャーではない実績ある機器のメーカーの話題なので、より注目が集まっています。

日本電産と言えば、昔から様々な機器のモーターで世界トップ企業でしたが、政府が発表したカーボンニュートラル、世界的な脱炭素社会の目玉の一つである電気自動車の需要が後押ししており、経営資源を電気自動車用モーターとその分野に集中するとのことです。
社員の「年収3割増」は、2023年までに行うとのことで、社員の待遇改善、優秀な人材を確保する狙いです。
さらに関潤社長は企業の合併・買収(M&A)を積極的に進める意向であると語っています。

ニュースだけ見れば、成長が見込め政府も後押ししている分野で世界トップクラスの技術を持つ会社なら当然だろうと言う意見もあるでしょうが、ポイントは違う所にあると思います。

意思決定のスピードと具体的戦略

従来、日本企業に於いてマーケットの将来を見据えた事業分野の転換や、新規事業への経営資源の集中は、数年単位の長い期間をかけて行われてきていました。そのぐらい時間かをかけ慎重に展開してきたことで、大きなリスクを回避することも狙いとしてあったのかもしれません。
しかし、近年ではGAFAなどの欧米企業の例を見るように、半年単位で新規ビジネスを手掛け自らマーケットや文化を形成してきています。10年前、検索エンジンの会社のイメージであったGoogleなど、毎年のように違う製品やサービスのコマーシャルを見ますし、現在は電気自動車の会社になろうとしています。さらにはあのマイクロソフトも自動車業界へ進出します。
参考:■自動車業界でもプラットフォーマーの立場に–マイクロソフトの施策とは(ZDNET)

要は「経営の決断」そして「実行力とスピード」です。

日本電産の電気自動車用モーターへの取り組みも、経営の決断そして実行力とスピードがポイントだと言えます。2年あまりで全社員の年収3割増を約束したこともそうですが、新たな事業を推進するためにM&Aを進めていくことがその表れです。
新分野、新規事業への推進、拡大において、関連する技術や販路を持つ会社との連携や会社丸ごとの吸収合併は、スピードアップの為に重要なビジネスの手法です。
GAFA4社が短期間に多くのM&Aをやりすぎて、政府から独占しすぎと文句を言われる事態まで出てきているのはご存知のことでしょう。
日本では、残念ながらM&Aは「乗っ取り」のようなネガティブなイメージがまだまだあり積極的でないのが現状です。

新たなマーケットへの事業展開に於いては、この経営の決断、そして実行力とスピードが、これからどの企業にも求められます。もちろん、全てが上手くいく訳ではありませんが、トライしようとする決断とスビートが一番求められるのです。そしてこれが出来なかった日本の会社の多くが現在窮地に立っているのはお解りかと思います。

現在お勤めの今の会社
・マーケットの変化を捉え新事業、事業変革をしようとしているか
・その為の準備、短期間での実現ロードマップは出来ているか
・必要な人材、協業先の開拓をしているか
・トップからその方針や具体策が共有されているか
・コロナ以前の事業売上にこだわっていないか
さらには
・縦割りの組織の改革、テレワークなどの働き方を広げているか
・年功型給与制度を成果型に。ジョブ型の雇用を取り入れ始めているか
・旧事業の主流人材がまだまだ幅を利かせていないか

一度これらの物差しで会社を見てください。
もし残念ながら出来ていないこと、変わっていないことが多ければ、それは自身の転職を後押しする基準かもしれません。
そして、上記のような新分野に必要な人材を採用しようとする会社に転職することをお勧めします。