40代、50代のビジネスマンの転職には、「ある種の専門性が必要」と言われ、このサイトでも求められる専門性についていくつか記事でそのことに触れてきました。
参考:■中高年の転職 問われる「専門性」ということの本質
また、当機構の前回のセミナー参加者からも、
「転職を考えたいが専門的スキルがないので難しいのでは」
「何か資格を取得したりした方が有利なのでは」
「知識が通用しない他業界には転職は難しいと思う」
などの声が聞こえていました。
このように「専門性、専門能力」=「特別な専門知識、技術が必要」
と思い込んでいる人が多いようですが、実は
転職市場においては全く異なるスキルが重要視されているのをご存知でしょうか?
ポータブルスキルとは
ポータブルスキルとは直訳すれば「持ち運びが可能な能力」。
つまり「業種や職種が変わっても通用する、持ち出し可能な能力」という意味で、
厚労省がミドル層(35歳〜55歳)のビジネス経験とスキルをもった人材が新たな職場環境で活躍するために必要な考え方として提唱しています。
「専門知識・専門技術」の他、「仕事のし方」(課題を明らかにする・計画を立てる・実行する)、「人との関わり方」(社内対応(上司・経営層)、社外対応(顧客、パートナー)、部下マネジメント(評価や指導))で構成される。
厚生労働省 : ミドル層のキャリアチェンジにおける支援技法より
これらを見てもわかるように、専門知識だけがある学者や学生など、社会経験、組織内での実務経験が無い専門家とは異なり、極めて実践的なビジネススキルであると言う点です。
ポータブルスキルは業界、業種、会社の事業構造、人員体制が異なる環境でも、「どこであっても活かすことのできる汎用性の高いスキル」であると言えます。
35~55歳のミドル層は、15~30年のキャリア。チームリーダー、マネージャークラスの経験は多く、特に「仕事のし方」と「人との関わり方」に関しては、上手くいったケースと、反対に失敗したケースなど色々な経験をしているはずです。
転職先の会社で、事業の課題を発見し解決策の策定し、関係するメンバーとのコミュニケーションを図りながら進めていく。
まさに、このスキルこそ、40代、50代のビジネスマンの転職に求められるものなのです。
企業側も、業界の専門的知識や経験よりも、このポータブルスキルを重点に置いた採用活動に変化しています。
新たな時代に対応する為に、
「古くからの仕事風土ややり方を見直し、全く違う畑にいた人の経験、全く違うやり方、新しいやり方を自社に導入したい」
と言う企業が増えてきており、知識や資格、職歴、よりも、この対人関係スキル、仕事を進める能力などビジネススキルを高く評価しているのです。
ゼネラリストこそ持ちうるスキル
以前、このサイトでは、ゼネラリストに専門性を問われても難しいと書きましたが、
このポータブルスキルこそ、ゼネラリストが持ちうる強みなのです。
入社以来いくつもの部門、仕事、場所を経て築いた、課題を解決していく仕事の仕方、メンバーとのコミニュケーションは知らず知らずのうちに、高度なスキルとして蓄積されています。
自分自身のポータブルスキルを見つめなおすことにより、次のステージの幅か広がります。
同業や同職種だけの範囲から、業界、業種関係なく選択肢が広がり、また独立起業等も考えていくことができるのです。
定年後も働く時代、企業の存続年数より仕事年数の方が長い時代。
転職は既に当たり前になりつつあります。
持ち運びをしながら、そのステージごとにブラッシュアップしていくポータブルスキル。
ゼネラリストだからこそ持ち得る高度なスキルとして認識してもらえたらと思います。
(編集部)
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