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何がしたいか、どんな仕事に就きたいかより、どのように働きたいか(自分のキャリアアンカー)

現在、40歳以上のビジネスマンの転職市場は年々増加し、自己都合、会社都合どちらにせよ、先々を見越しての転職の動きは益々加速しています。

しかしながら心機一転、次のステージに進んだ方全員が思い通りにヤリガイを感じながら働き、活躍できているかと言えばそうではありません。
大手企業のグループ会社、関連会社への転籍や金融業界の取引先出向など、次のステージの受け皿を用意され収入や待遇をある程度保証された方々や、転職サイトやエージェントなどサービスを活用して積極的に転職された方でも、次のステージで上手くいかない方が多くいらっしゃいます。
結果的に次のステージで居場所が無くなったり、再度転職を余儀なくされたり。
例えば、営業職、技術専門職、など今までのスキルを活かせる職種で転職しても、知識のある同業界の他社に転職しても、マネジメント力を買われ、例え経営層として移ったとしても
上手くいかない、活躍できない話は多いのです。
業界、事業、職種、ポジションなどある程度理解して移ったはずなのに、何故上手くいかないケースが多いのでしょう。
会社の社風、既存メンバーとのコミニュケーション、業務フローの違いなど色々な要因があるように思われますが、実はもっと重要な要因があるのです。

仕事の内容を重視しすぎる

転職を考える時、「どんな仕事をしたいのか(職種、仕事内容)」を考えることは当然でしょう。
次に「どこで(業界、就業エリア)」と続き、それらを踏まえて求人情報で条件・待遇等を調べていく流れです。これは世代に関係なく、就職活動のオーソドックスな手順かもしれません。
特に中高年の転職に於いては競合する他者との優位性を明確にするために、転職エージェントや人材紹介会社などが、今までどんな仕事をしてきたか(仕事の棚卸し)を元に自己分析を行い進路選択のアドバイスを行うことが多く、これも「今後どんな仕事をしたいか」と言う仕事内容に焦点を当てた流れです。

ところがこの「仕事内容中心の転職活動、就業の考え方」は、転職の有無にかかわらず、社会の動向や産業構造全体の変化の影響を大きく受けます。
話題の「AIに取って代わられる職種」などの発表は、現在のその仕事に就いている多くの方に強い危機感を与えており、技術の進歩やユーザーニーズの変化により間違いなく無くなっていく職種や仕事内容が出てくることは皆んさもご存知でしょう。また会社によっては事業そのものが変わる、無くなるケースも出で来くることでしょう。(参照 : AI、IT技術の更なる進歩により、無くなる仕事と求められる仕事)
さらに念願のやりたい仕事に就いたとしても、ある程度キャリアを積めば会社から求められる役割りが変わってくることも良くあります。
エンジニアなど技術系の職種などがある程度のキャリアを積めば、技術者としてよりも管理者としての役割を求められるのはよくある話です。

このように、仕事の内容を重視しすぎる転職は、次のステージに於いても希望通りにいかない場合が多々あるのです。

どのように働きたいか(キャリアアンカーの考え方)

一方で、転職で次のステージが希望する職種(仕事)でなかったり、転職後にその仕事でくなってしまっても、ヤリガイを感じながら活躍されている方がいます。
彼らに共通するのは、働くベースとなるものが、「何の仕事をしたいか」ではなく「どのような働きたいか」と言う仕事観、価値観です。
これは、マサチューセッツ工科大学ビジネススクールの組織心理学者であるエドガー・H・シャイン博士によって提唱された「キャリアアンカー」の概念に近しいものです。

キャリアアンカー
キャリアアンカーとは、自己のキャリアの軸となる考え方が、What「何をしたいか」ではなくHow「どのようにしたいか」、働く上で何を一番大切にしているかと言った取り組み姿勢やポリシーのようなもので、仕事内容や組織の変化に影響されない個人の強い価値観(仕事観、人生観)です。
個人がキャリアを選択していく上で絶対に譲れない軸となる価値観や欲求、能力を個人の錨(いかり=アンカー、不動点)に例え、キャリアアンカーと呼ばれています。
キャリアアンカーについてはこちら(キャリアアンカーとは 日本の人事部)

キャリアアンカーについての研修は、すでに多くの企業(特に生産ラインを持つメーカー)で行われており、各事業特有の求められる資質や能力と個人のキャリアアンカーの傾向の摺合せによる適材適所の配属や、結果的にモチベーションの継続と高い生産性を生み出しています。

20代の新人の頃なら、「この職種、仕事をしたい」「この仕事で一人前になりたい」など目標を持ち、その仕事に邁進することが出来ました。
しかし30代になると、その職種や仕事の内容より自分自身の「やりかた」「働く姿勢」「ポリシー」と言ったことが、モチベーションを高めていることに気づくはずです。

キャリアプランを考える際のよりどころとなるこの考え方。
これからまだまだ続く、自己の長いキャリアを考えたとき、仕事内容にこだわることなく、自己の内面で不動な価値観(キャリアアンカー)を大切にしながら、「どのように働きたいのか」と言う観点から、次のステージ探しをしてみてはいかがでしょうか。

(編集部)

【キャリアアンカー診断・研修について】
キャリアオーナーシップ推進機構では、キャリアアンカーをテーマにした講義(診断ゲームなど)を企画し実施しています。企業の研修担当者様で興味関心がある方は是非お問い合わせください。お問い合わせはこちらから

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