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中高年の再就職を難しくしている大企業病 Part4

Part2Part3で紹介した「縦割り組織の弊害」「チャレンジする姿勢の欠如」以外にも大企業と呼ばれるものにはいくつかあります。

経営やマネジメントに弱い

部門、課、チームのマネジメントは本来、目標達成に対する戦略と戦術実行の為の、「人・モノ・金」のマネジメントでもあります。
しかしながら大手企業のように縦割り組織や業務の細分化による体制の場合、「人・モノ・金」のマネジメント経験はなかなか得られません。
特に人と金については、人事部主導の社員配属であったり、少額の決済さえも上層部や経理への交渉が必要であったりと、マネジャー自身の裁量ではままならない事が多いのです。
だからと言ってマネジメントが上手く行かなくても、会社は潰れず事業は回ってしまう。
自ずとメンバーの査定や評価中心のマネジメントに長い期間陥りがちです。
名刺に「長、マネジャー」など立派な肩書が付いていても、何の決裁権も持たない大手企業の管理職は多いのです。

一方の中小企業やベンチャー企業では、どのセクションでも毎月の業績は経営に直結し、来年以降の成長を念頭に常に危機感を持って経営にあたります。つまり求められるマネジメント力は、経営力です。
したがって成果、結果を出すためには、人・モノ・金に関しても思い切った権限を与えられます。
目標とする売上や利益、成果を出すためには、どのようなメンバー構成で、どのような計画、戦術で進めていけばいいのか。
マネジメントにはそのスキルが大きく求めらられるのです。
権限、裁量を与えられると同時に経営に対する責任を担うということです。

大手企業からの転職者の多くは、事業責任者、推進のリーダーとして期待されている場合が多く、事業、部門の経営者としてのマネジメント能力を持たなければ難しいのです。

顧客目線が薄れる

組織が細分化され、部門のセクショナリズムが横行する大手企業では、顧客を見失いがちです。
社内の立場や力関係など内向き志向で仕事をしているので、本来一番優先させるべき顧客のニーズに目が行かなくなるのです
特に企業間取引メインのB to Bのビジネスでは、その先のカスタマーが見えなくなったり、マーケットの変化、世の中の流れに鈍感になりがちです。
「そこまでしなくても会社は潰れない」と言う感覚が一番の原因ですが、長いスパンで考えると、そのような企業は顧客が徐々に離れていき、収益が落ち込んでいきます。
実際、業績が悪くなる大手企業の多くは、世の中の流れを読めず、時流に沿ったサービスにいち早く対応できず、結果的に顧客離れが要因になっている場合が多いのです。
スマートフォンがやってくる時代に、国内ではガラケーを作り続けた話は顕著な例でしょう。

また、競合他社との競争に於ける差別化や優位性を方針として掲げながら、実際は社内がライバルになっている企業も少なくありません。
話題となった某地方銀行に見るように、社内の営業所、支店間の競争に明け暮れる企業がどのような末路を迎えるかは言うまでもありません。

商品開発や付加価値サービス等は、本来顧客ニーズを満足させ結果的に企業に業績として反映するものです。顧客を把握せずして企業の成長はありません。
そのことを十分に理解した上での仕事の仕方、社内の在り方が求められます。

ルールに固執してしまう

同一の品質、規格の商品を大量生産する。
全国どこでも同じサービスが受けられる。

これは大手企業ならではの強みですし、成長、拡大の原動力でもあります。
ただそれらを実現するには、共通のマニュアルや細かなルールを必要とします。
確かに業務のマニュアル化、細かなルールにより、グローバル化した現代においても日本の品質、サービスは世界的な評価を受けていますが、一方で、誰でも同じことが出来るため、自分で物事を考えない社員も生み出しています。
そのこと自体には未だ賛否両論ありますが、マニュアル、ルールが全ての判断基準になり、旧来のやり方への問題提起や更なる業務の効率化を考えることの思考が無くなっていくことは問題です。

余談ですが、ある大手のファーストフードでは、お客の顔を確認せずに、偶然開いた入り口の自動ドアの音に、「いらっしゃいませ」と何人も声を出していました。
また両手がふさがっているお客に、「このままでよろしいでしょうか」とガムシロップとフレッシュを蓋の上に乗せたアイスコーヒーを差し出していました。
マニュアル化はその場の状況に臨機応変に対応する思考を徐々に無くしていくのです。

そしてそれは、商品やサービスだけでなく、社内においても同様です。
社内の業務に対する様々なルールが長きに渡ってそのままの状態で運用され、何の疑問も持たずに「我が社のルールだから」とただただ守っていれば良しとする風潮は問題です。

例えば、いわゆる企業の「紙文化」と言うもの。
国会で政府の文書書き換え問題が起きたのを受け、現在、政府内文書のデジタル化の話になっていますが、デジタル化、IT化が主流の現在、未だ何枚もの紙の書類や稟議などのハンコについても、昔からそうだから、ルールだから、とペーパーレスに取り組まないお役所のような企業も多いようです。
「コピーを取る担当の社員の仕事がなくなるから」「ハンコを押す為に出社する役員の仕事がなくなるから」と、思わず笑ってしまうような理由を堂々と言う企業も未だにあります。

マニュアルもルールも、ある部分では必要かもしれません。
しかし、古くからのものに固執せずに、時代に即した改訂や柔軟性あるものへの見直しを行い、新しいやり方へと変化させていく考え方が重要なのです。
(編集部)
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