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中高年の再就職を難しくしている大企業病 Part3

前回のpart2では、縦割り組織の弊害について触れました。
事業を縦割りに組織化し、さらに細分化したユニットでマネジメントしていく形は、何も大企業に限ったことではありません。
もちろん、何万人と言う規模の企業であれば、細分化された組織から来る弊害は否めないのですが中小企業でも多々起こりうる事象です。
現に中小企業出身者で転職活動が上手くいかない方の多くが、この大企業病と同じ風土や価値観の中で働いてきた人です。この大企業病が如何に蔓延しているかが解ります。
前回に続き、大企業病でよくあるケースとその原因について考えます。

チャレンジする姿勢

もしかしたら、このことが中高年の再就職に一番の弊害になっているのではと思います。
「我が社ではこのやり方」「こうすれば上手く行くはず」などの、いわゆる過去の成功体験に頼り、新たなチャレンジに対してネガティブになってしまう。
大企業病の一番の弊害は、この「チャレンジ」するという事に対する考え方です。現状維持を良しとし、あえてリスクを抱えるチャレンジをしなくなるのです。

新規のビジネスだけではなく、現在の業務遂行のフローやルールに関しても例えそれが非効率であったとしても改善しようとはしません。
さらに「知っていること=経験則」がベストであると頑なに信じ、他社の事例は参考にしてもそこまでが全てで、まったく新しい発想、他業界、先進国事例などから新たなアイデアやヒントを得ると言うようなことをしません。

写真はイメージです。提供PIXTA

その昔、高度経済成長期に「やってみなはれ!!(サントリー)」「やらまいか!!(ホンダ、ヤマハ他)」などのチャレンジ精神満載のスローガンの元、世界のトップへと上りつめた日本を代表する多くの企業がありましたが、残念ながら当時のような気概ある企業文化は薄れ「そこまでやらなくても」「いつか誰かがやるでしょ」と、どこか他人事のように考えるような会社員たちが増えてきているのです。

減点主義的な評価、風土

チャレンジ精神の無さはさらに独自の評価風土を生み出します。
チャレンジする → リスクをとる → 安定した事業には悪い要因、と言うようにいわゆる「出る杭は打たれる」風土に変わり、新たな提案、アイデアを出す社員は異質なものとしてみなされます。
そして事業の戦略戦術の実行が、PDCAのサイクルではなく、D(行動)C(評価)中心になり、新たなP(プラン)やA(改善)をおざなりにしていくのです。
つまり加点評価でなく減点評価の傾向になるのです。
減点評価は、失敗をすることを避け、社内での立場ばかりを重視しリスクを避ける社員達を多数生み出します。
自ずと、昇格して責任あるリーダーになるより現状のポジションが安全であるという意識になり、上を目指したり、社内での起業を考えたりする将来的な会社のコアとなる社員達の芽を潰してしまうのです。
一方でグローバルに活躍したり、ニュービジネスを創り出すビジネスマンのニュースなどには確かに一目置いているのですが、こと自分の話、自社の話になると別の世界ことのように考えてしまうのです。

大手企業のトップの多くは、インタビューなどで「求められる社員」について必ずと言っていいほど「従来の枠にとらわれないチャレンジ精神がある社員」と言うニュアンスを出しています。
なのに、残念ながら現場はそんな社員が育たない。辞めてしまう。
言葉やスローガンだけでは変わらない組織風土を根本から変えていくようなドラスティックな改革は、安定が崩れるような超危機的状況にしかやれないのでしょう。

中小企業の多くは、日々何らかのチャレンジです。
さらに出る杭は打たれず、逆に新しい杭が出るのを待っている経営者も多いです。
そして減点評価というより加点評価です。
大企業の方の中小企業への転職においては、過去の経験則や成功事例などより、現場を把握した上での新たなチャレンジを次々と進めていくリーダーになるぐらいの心構えが必要です。
(編集部)
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