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勤務時間の考え方も変わる

勤務時間の考え方

再度の緊急事態宣言を受けて、多くの企業がテレワーク、時差出勤を継続、再開させていますが、
残念ながら7割目標どころか、連日出勤の会社が未だ多く、ネットでは対応しない自社に対する不満の声も上がっています。

当サイト「会社を見る物差し 転職意思決定の基準」でも触れましたが、テレワークや時差出勤など勤務形態への対応力、決定のスビートなどは、今後の企業の社会的評価や新規採用時の応募者の選択基準の大きな要因となるのは間違いありません。

特に時差出勤に関しては、取引先、顧客対応の時間帯を理由に、定時出社のルールに柔軟性を持たない企業もあります。
営業、商談、打ち合わせなど顧客対応に関して、オンラインやITツールを活用した手法が広がってきているにも関わらず、相手先の始業時間に合わせ出社を強いることは、結果的に取引先や関係先にも定時出社を強いていることに繋がります。
「我が社はコロナ禍に於いても定時出社・全員出社で、顧客サービス、満足に努めます」と言った姿勢は、これからは逆効果になることもあるのです。

そんな中、通勤手段である鉄道業界も、新たな支援を打ち出しました。

オフピーク通勤などの通勤スタイルに合わせた新サービスについて|JR東日本

首都圏の社会人向けに、2021年3月15日から平日の朝の通勤時間帯に、Suica通勤定期券で対象エリアの各駅でポイント還元対象となる時間帯に入場した後、対象エリア内の駅で出場した場合に、JRE POINTを還元すると言うものです。
通勤ラッシュの時間帯の前後(オフピーク)の通勤を推奨している背景には、未だピーク時に混雑している現状があり、メリットを享受してでも改善して欲しいという現実もあるようです。

一方で企業が始業時間、勤務時間に対し柔軟に対応できない背景には、労基法による勤務時間の考え方があるのも事実です。ご存知のように労基法では「原則として1日に8時間、1週間に40時間労働」とありますが、これを決まり事、義務と考えている企業もあります。
実際は、「1日に8時間、1週間に40時間以上労働をさせてはいけない」と言う内容で、休憩の必要性など雇用者を守るためのものです。さらにその考え方の根幹には、かつて日本経済を牽引してきた製造業の現場を基本とした「時間による労働管理」「労働時間による報酬(時給)」があるのも事実です。

これからは、コロナの影響に関わらず、テレワーク、時差出勤、交代勤務など勤務体系、勤務に関するあらゆる管理を社員の職種や、ジョブ型雇用など雇用形態に合わせて、より柔軟に対応していくことが求められるでしょう。

浸透しない勤務間インターバル制度

2019年4月から本格的にスタートした働き方改革で推奨されている一つに、「勤務間インターバル」と言う制度があります。

勤務間インターバル制度 厚労省資料より

残業規制が進んでいても、仕事によっては深夜までかかるものもあり、翌日睡眠不足のまま仕事に行き体調を崩すと言うケースが多発していることから、仕事終了時間と翌日の始業時間との間に一定の休息時間を確保するというものです。
勤務間インターバルとは(厚労省)

その昔、バブル期には「連日深夜タクシー帰宅で、ほとんど寝てないよ!!」などと武勇伝のように自慢する会社員も多くいましたが、今やそのような「忙しさ自慢」は時代に合わず、仕事以外の時間をしっかり確保することも、自分自身のマネジメント力評価となる時代です。
勤務間インターバル制度を導入している企業では、「勤務以外の休息時間を標準15時間、最低11時間」と決め、残業した翌日の始業を遅らせる方策を採ったり、特別休暇を与えるなど柔軟に対応しています。
さらに「勤務間インターバル制度」の導入の取り組みに必要となった経費の一部を、成果目標の達成状況に応じて支給される助成金もあるのですが、残念ながら厚労省の発表によると制度導入企業は2020年1月で4.2%と低く、制度自体を知らない企業があるのも現状です。
平時の休息時間や残業の翌日の時差出勤を導入している企業はあるでしょうが、それぞれ15時間、11時間と言った細かな規定まで設けている企業はまだまだ少なく、働く本人も休息時間を意識していないようです。
未だ人手が少なく離職率が高いと言われる介護業界では、一部の施設でこの勤務間インターバル制度を導入し、離職者が無くなったと言う所も出てきています。

勤務間インターバルは、働き方の見直しのための他の取組みとあわせて実施することで一層効果が上がると考えられていますが、健康やワーク・ライフ・バランスの確保策として今後の動向が注目されていますが、浸透にはまだまだ時間がかかるようです。

海外、EU加盟国では1993年、「24時間につき最低連続11時間の休息時間をとらなければならない」という勤務間インターバル制度が制定され、職種やポストによって細かく制度が決められています。
海外のテレビドラマの企業ものなどで「時間が来たので帰ります ! !」「○時までの契約なので」とサッサと帰るシーン、遅くに出社するシーンなど多くありますが、そんなの許されるの?と感じる日本人も多いのではないでしょうか。

日本は世界の中でも仕事に於ける一人当たりの生産性が低いと言われているのはご存知の通りです。
これからは、「会社での勤務時間」「定時出勤」と言う考えから、「休息時間を中心としたワーク・ライフ・バランス」を重視し、限られた勤務時間に集中することで、本来の生産性の向上につながると思います。