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働き方改革はコロナ禍でどう進むのか

少子化労働力不足を背景に、一億総活躍社会の実現に向けてここ取り組みが進んでいる働き方改革ですが、一連の新型コロナ騒動を受け、各所で関連した動きが出で来ています。

本来、働き方改革は就労人口や出生率の増加、そして労働生産性の向上を目的とし、そのために長時間労働の見直し、高齢者の就労促進、非正規社員の格差是正などが推進されるものでしたが、実際には2019年4月より、企業によってその取り組みはバラバラで手段のみが先行したり、その目的が十分に認知されないまま多くの社員達の不安を掻き立てるものが多かったのも事実です。
しかしながら、一連の新型コロナ感染騒動を受けて働き方改革の推進に変化が見られるようになりました。

働き方改革

【残業時間の上限規制】

昨年から残業時間の規制に関しては、残業が減ったことにより残業代が見込めず収入が減った社員が続出。さらに一部管理職がメンバーの仕事まで抱え激務に陥っていることが話題になりました。
大手電機メーカー、大手マスコミなど、月間残業時間が半分に規制され、残業による収入が半減し、さらに今回のコロナ禍でテレワークへと移行し、残業代が全く無くなったと言う話が出てきています。
テレワーク導入で仕事や役割と責任、そして「求められる成果」が明確になり、効率よく成果を上げるための仕事のやり方が、否応なく求められるようになっているのです。
既に一部企業(特に大手IT関連)では、月々の「みなし残業」分があらかじめ収入に含まれ、
成果と成果を出すための効率的な仕事のやり方が評価のすべてになっています。
テレワークでは「仕事ぶりが見えない」「見てもらえない」と言う不安が声が上がっていますが、だからこそ成果や結果で明確にシビアに評価せざるを得ない状況です。

残業時間規制→成果を上げるための仕事効率化・テレワークによる更なる可視化→成果評価で収入増減。
今後、残業代は減る方向に向かうのは間違いないでしょう。
と言うより残業そのものの概念(時間で働くベース)が無くなってくるのではないでしょうか。

【同一労働同一賃金】

元々は正社員と非正規社員の不合理な待遇差を解消するために導入されるものですが、
今年の4月の中小企業へ施行を受けて、現在は「基本給・賞与」などと皆勤、住宅などの「〇〇手当」などについて各会社で条件を見直しながら改訂しているようですが、非正規社員を一気に正社員化した話はまだまだ多くありません。

ベースにあるのは「スキルと労働成果に対する報酬は同一」と言う考え方です。
それは欧米のジョブ型雇用に近しいものです。
ジョブ型雇用では、組織や個々の仕事の役割と責務が明確でそれに対する報酬が一律に決められています。
現在の給与制度や待遇を時間をかけて変更していくよりも、ジョブ型の雇用を推進することで一気に解決していく企業が現れるかもしれません。

新型コロナ感染騒動で、雇止めや解雇になっている非正規社員の話が多く聞かれます。
もしコロナ終息後に再度雇用を戻し拡大していく時、どのような違うやり方で行くのか。
企業の改革の本気度とその手腕が問われると思います。

【高度プロフェッショナル制度】

年収1075万以上の一部専門職は勤務時間に縛られない。
これが一番、関心が薄い動きでしたが、
「時間に縛られず、経営側と契約したミッションとその成果で報酬が決まる働き方」は、
上記の残業時間規制、同一労働同一賃金と相通ずるものがあります。
職種を特定し仕事内容の対価として報酬を払う形に、残業時間、残業代、〇〇手当は考慮されず、成果評価での雇用契約になります。

新型コロナ感染騒動で、よりあらわになった「働くことと報酬の関係」
企業も競争激化の中、人材争奪にさらに拍車がかかります。

現在、一部ではコロナリストラが加速し人材の流動は激しくなると言われていますが、
今後は、転職先の際に、残業時間、残業代、〇〇手当、退職金、などを気にするのではなく、仕事の成果と報酬を前提に動く人材を企業は採用する「ジョブ型雇用」に変わるのは間違いないでしょう。