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少子化・人口減少問題と企業の社員年齢再編成の為のリストラ

大企業の社員年齢構成

現在の日本が少子化問題など人口が減少していることは既にご存知かと思いますが、少子化問題などでよく活用される 総務省統計局発表による日本の人口ピラミッド(2015年発表)を見ると、日本の会社全体の問題と重なる部分が垣間見えます。
グラフを見れば一見してわかるように、第一次ベビーブーㇺ(団塊の世代)と、
第二次ベビーブーム(40代中盤)の二つのボリュームゾーンがあり、それ以下の年代は年々減少傾向にあります。

これを日本の企業の従業員で考えるとどうでしょう。
22歳新卒~60歳役職定年の範疇で切ってみると、より課題は明確になります。
(2015年発表のものなので縦軸を+4歳で考えてみる)

「平成27年(2015年)国勢調査(抽出速報集計)」(総務省統計局)より

いびつな年齢構成は会社にも多い

一番のポイントは「40代中盤の社員が20代の若手の倍近く存在している」ことです。

個別の企業によって年齢構成比は異なるでしょうが、産業界全般を見ると働き手の年齢バランスが大きく崩れていることが解ります。

もし、年功序列で尚且つピラミッド型組織を維持しようとすれば、ピラミッドが上下逆になります。(年金問題でよく言われる高齢者を支える現役世代の減少と似ている)

このバランスを企業に当てはめると、極論ですが
・1人の若手社員に、1.2人の主任やチーフ
・1人の若手社員に、1.6人の係長
・1人の若手社員に、2人の課長
さらに
・1人の若手社員に、1.6人の部長
という感じになります。

笑い話のようですが、既に多くの大手企業でこれに似た状況は少なからず起こってきています。
自分が入社した時の課長と同じ年齢になっても、未だ役職ナシという方も少なくありません。

企業の方も、昔のように年齢とともに上がる役職・ポストが既に無いため、部下のいない管理職を作ったり、部付き、課付きのプレイングマネージャー(昇給はアリ)にしたり、関連会社、グループ会社への出向など様々な方法で、中間層を配置転換させてきました。

しかしながらその中間層が居続けることによって、若手の育成が進まないことや
仕事へのモチベーションの低下など企業全体の今後の成長や推進の活力への危機感から
ついに早期退職をうたったリストラに踏み切るわけです。
現に東京商工リサーチの調査でも大手上場企業の平均年齢は40歳を超えると言われており、10年後、20年後もその平均年齢を維持しようとするには会社としてどうすればよいかは安易に想像がつくはずです。

業績は良いのに人員削減、リストラ

と言うこの現在の風潮は、この社内の社員年齢構成比の問題も一つの要因なのは間違いないでしょう。
いくら「社員に優しい会社」をうたっていても、平均年齢が50歳の会社では、市場で生き抜いていくのは難しいと言うのは本音です。
社員一人当たりの生産性と報酬のバランス、人件費から見ても大きな要因で、巷で言われる、少子化・労働人口不足→人手不足は、唯一この中高年層には当てはまらないのです。
ある大手流通のトップは「不安を感じる社員に選択肢(早期退職など)を示すのも経営側の義務」と語り、
大手メーカーのトップは「労使協議会で(人員削減は)受け入れられないという話も出たが、リストラは最後の手段だが、これが次の成長につながる」
と、会社の存続、次のステップへの成長には中間層の人員調整は必要だという認識を示しています。

メーカー、ITから製薬業界、銀行などかなり幅広い業種でこの早期希望退職が「45歳」と言う年齢を中心に行われているのは、そのような背景があるからです。

この記事をご覧の皆さんの会社はどうでしょうか?
自社の社員の年齢構成比はどうでしょうか。
自分の所属のセクションの年齢構成比はどうでしょうか。
現在あるいは5年後に、自分が社内でどの層にいるのかを、考えてみてはどうでしょうか。

今回のこの記事は、極論すぎたかもしれません。

企業によってはちゃんと年齢的なバランスを取り、計画的に新卒や中途採用を行っているところも多いでしょう。ですから「45歳以上中高年が余っている」と言うのは特定の企業の話かもしれません。
ただ、早期退職など転職人材市場全体を見ると間違いなくボリュームの多い層であることは間違いありません。それに比べ募集(需要)はそれほど多くないのが現状です。
次のステップに進む際には、是非そのことは踏まえておいて欲しいと思います。

(編集部)

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