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当事者意識でなく当事者

人生100年時代の企業の在り方

経済産業省は現在、「働き方改革・人づくり革命」の観点から、

「人生100年時代」の中、「生涯を通じた高付加価値労働」実現が必要。そのためには、個人がオーナーシップを持ち、社内外の広い選択肢を視野に入れてキャリア開発することが必要。企業の役割も 「雇い続けることで守る」から、「社会で活躍し続けられるよう支援することで守る」に、変容が求められ、個人が活躍し続けられるよう企業は「キャリア開発支援」「リテンションの強化」「新たな関係性の構築」に取り組む必要がある。

とうたっています。
(※経産省産業人材政策室「人生100年時代」の企業の在り方 ~従業員のキャリア自律の促進~の資料より)

上記資料にもあるように、既に大手メーカーをはじめとする幾つかの企業で、色々な取り組みが成されています。
「以前は55歳、定年前などに行っていたキャリア研修を30歳から10年ごとに社内外で実施」「希望異動先へ直接アピールできる人事制度」「社員の出向、独立起業などに対し新たなネットワークの構築」をするなどその動きは様々です。

上手く行っているのか? 上手くいくのか?

しかしながら、それぞれの企業の個々の取り組みや制度は素晴らしいものの、運用面で上手く行っているという話はなかなか聞きません。
そして上手くいかない阻害要因として共通で出てくる言葉は「意識」です。(経産省資料P14~参照)

  • 自分のキャリアに関して自問自答する当事者意識
  • 根強い年功序列意識
  • 定年まで残れると言う危機感の無さ
  • 多様性をマネジメントする重要性必要性の欠如
  • 人材輩出、社外転進=リストラ、整理と言ったネガティブイメージ

全てが、考え方、思い込み、など意識的なものが起因しています。
意識、考え方、捉え方は、個々人が持つものであり、企業もまたその個人の集まりです。

「社会環境に合わせて一応、色々な施策と制度はやってます」
「キャリアアップセミナーを定期開催しています」
では、その効果、結果は?
「どうせ会社が研修や制度や再雇用を創ってくれるでしょ」
「特に変えなくても今のままで何とか乗り越えられるんじゃないか」
どこか他人事のように考えていませんか。

当事者意識を持つことが大事、と言う一般論ではなく、自分が当事者そのものであると理解すること。
意識が変わらない限り、個人もその集まりである企業も結局何も変わらず、今後さらに大きな壁にぶつかることでしょう。
10年後も「個人のキャリア開発が大事だ」「しかし問題は対象者の意識だ」と言っているかもしれません。
掛け声先行で実践が伴わない企業、社会で活躍し続けられるよう支援することで社員を守る風土を醸成できない企業は、間違いなく自分のキャリアに対し当事者意識の高い優秀な若手社員が抜けていきます。

働き方改革・人づくり革命を受けての新たな企業の在り方。
聞こえの良いプランや制度の導入だけではなく、徹底した運用と社員の意識改革、そして新たな企業風土づくりが求められるのだと思います。

ちなみに、従業員のキャリアに対する制度や支援。その担当となる人材開発、人事の担当、管理者は、相当な問題意識を持って取り組んでいることでしょう。
ただ、その人事担当者自身も当事者です。
制度や支援策の徹底した運用と対象者の意識改革を成し得るかどうかで、当然その人の将来のキャリアも変わってきます。

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