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未経験の業界、業種、職種への転職、キャリアチェンジ

未経験の業界、業種、職種へ

これまでキャリアチェンジに関しては
キャリアチェンジを考える時代 実践していく時代』で橋本聖子氏など意外に多い著名人のキャリアチェンジを取り上げました。
また、『同じ職種で転職は意外に難しい / 求められるキャリアチェンジ』では、転職市場における一番多い同職種での転職は上手くいかないケースがあること。
そして『違う職種に転職 / 求められるキャリアチェンジ』では、元々やりたかった仕事や興味がわいた職種への転職について、求められる知識、スキルの学びや役割りの認識についての重要性について書きました。
今回は、全く未経験の業界、業種、職種へのキャリアチェンジについてです。

全く経験のない業界でやったことのない職種へのキャリアチェンジと言うのはそんなに頻繁にあるものなのでしょうか。
実は前記の『違う職種に転職』と同様、実際に経験されている方は意外に多いのです。
全く未経験の業界、業種、職種へのキャリアチェンジについては次のように3つのパターンがあります。

⑴ 業界の将来性への期待から

その昔、高度経済成長の日本社会は製造業が中心となり牽引しました。
農家の子供たちの集団就職がブームになり、大量の新人たちがメーカーの生産現場で活躍し、同時にそれら拡大するメーカーを支える金融、不動産などにも多くの人材が流入しました。
このように時代、産業構造の変化と共に、将来性ある業界、業種に多くの人材が流れ込む事象は以前からありました。
最もわかりやすいのが、IT業界、通信業界、ネットビジネスの業界です。
80年代、パソ通(パソコン通信)と言われた時代から、業界の展望が各所で語られ、これらの業界に一気に人材が流れ込みました。システム関連、インターネットビジネス、モバイル業界、そして現在の様々なネットビジネス。何の知見も無い業界、業種とやったことのない仕事に、異業種からたくさんの人材が流入し、現在の業界を形作っています。
電気、通信関連の技術者がイントラ、インターネットのシステム職へ。雑誌、紙媒体の編集制作マンがポータルサイトの運営者に。会計士、税理士などの士業からクラウドビジネスの運営に。など、それまでのビジネスとは異なる全く未知の分野へトライした方は多くいました。
業界の成長はここ30年です。従って現在のIT系の創業者、経営層で50代以上の方は、前職は全く異なる業種・職種の方は多いはずです。
ちなみに新たに携帯電話事業参入で話題の楽天の三木谷会長は元銀行員だったことは有名で、退行後エム・ディー・エム(現・楽天)を設立しています。
□参考:三木谷浩史が読む、コロナ後の世界!古い企業や体質を、投資家が変えていこう(トウシル楽天証券)
このように将来性ある業界で全く異なる業種や職種に思い切って移る人は多いのです。

⑵ 各種事情により余儀なく転職

現在のコロナ禍において職場の倒産、閉店、雇止めにより職を失った方は多いと思います。
以前にもバブル崩壊、ネットバブル崩壊、リーマンショックなどで職を失い転職した方はたくさんいらっしゃいました。上手く転職できた方もいましたが、多くは「生活の為とりあえず何でもいいら」と言う理由で仕事に。現在も仕事探しをしている方の中にも、生活の為背に腹は代えられいと言う方は多いのではないでしょうか。
「とりあえず」と言う気持ちで何か月か働いてその間にまた就職活動と言う話はよく聞きます。
しかしそのような中でも、新たに出会った仕事にやりがいを見出し、そのまま自分の仕事として定着している方がいます。

同じように個々の事情で地方移住のケースもあります。
両親の介護で実家に戻ったり、何らかの事情で出身地や別の地方で働くケースです。
この場合は、業種・職種だけでなく住環境まで変わります。

⑶ 定年後、リストラ後

定年した後や、ある程度の年齢で退職した人の中で、全く未経験の業界、業種、職種へのキャリアチェンジをする人が一定層いらっしゃいます。
もともと中高年には募集も少なく、再雇用もままならない状況なので、仕方なく募集されている仕事に就くのではなく、気持ちを切り替えて思い切って一から全く知らない仕事に挑戦するのです。
人生100年、70代現役を求められる現在、40代、50代はまだ折り返し地点です。今からでも新たなことにトライするキャリアチェンジは増えていくことでしょう。

未経験の業界、業種、職種へのキャリアチェンジに共通していること

前述の3つのパターンで活躍している人に共通していることがあります。
一つ目は、前職や今までの経験から自身のポータブルスキルを活かしているという事です。
転職に重要な中高年のスキル「ポータブルスキル」でも触れましたが、長年の経験で身に付けた対人関係スキル、仕事を進める能力などビジネススキルはどの業種、職種にあっても活きます。
定年後の再就職、地方移住による就職などであっても、その点を高く評価され「さすが、〇〇にいた人、××を長年やった人は違うな」と一目置かれたり、そのスキルを評価されて、また違う職種や上のポジションを任されたりするケースも少なくありません。

そしてもう一つは、1から学ぶ姿勢。
当然と言えば当然ですが、業界の事、その会社の事業内容、仕事の内容とやり方、全てにおいて一から学ぶことです。これが出来そうで出来ない人がいます。
前述のネット業界創成期に転職した人は、Eメールの設定の仕方から勉強していますし、介護職の業界に転職した方は、資格取得の勉強をしています。
新しい職場では新人です。例え年下だろうが、アルバイトだろうが先輩に教えを請い、出来るだけ早く戦力になろうとしています。

未経験の業界、業種、職種へのキャリアチェンジ
敬遠されることも多い背景には、収入がダウンするということがあります。
確かに、収入が下がることは大きいですが、転職後に活躍することで大幅に上がるケースも多いです。
要は自分の気持ち、姿勢しだい、という事になるでしょう。
これからの長く働くことを前提に全く未知の仕事に就くことも考えてみても良いのではないでしょうか。