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黒字リストラ組が転職市場で苦戦

今年に入ってからも、三井E&Sホールディングス(旧三井造船)、NISSHA(旧日本写真印刷)、ノーリツ、サッポロホールディングス、オンワード、東芝機械など上場企業が
早期希望退職者の募集を発表しており、いずれも45歳~の世代を中心に何百名と言う3桁の数で募集し始めています。
通常、一年ないし半年と言ったスパンで募集するのですが、今回は早い企業で3月末までに打ち切るようで、如何に企業が急いでいるかが解ります。

そんな中で話題になっていたのが、ファミリーマートの800人募集に1000人を超える希望退職の応募があったこと。コンビニ業界の将来性や、親会社の商社との関係など色々と話題になり、優秀な若手社員も多く手を上げているということでした。

そんな中、こんなニュースが。

コンビニ本部の店舗指導員が転職市場で全く評価されない理由(参照:DIAMOND ONLINE)

特に記事にある「店舗指導員OFCやSVは、個人の課題解決能力がない職種とみなされ同業以外では未経験扱いになる」と厳しい話。転職市場で苦戦、就職活動も厳しい状況にあるのではないでしょうか。

大手、有名企業を思い切って退社し、新天地へ。しかしながら市場は辛い評価

これはコンビニの店舗指導員と言う特定の業界の特定の職種に限ったことではなく、
どの業界のどんな職種の方にも当てはまることなのです。
あるベテランのキャリアカウンセラーは、「金融、大手銀行の銀行員が一番苦戦している」と言い切ります。

情報武装、理論武装では就活は乗り切れない

リストラを発表する企業が、希望退職者に再就職(転職)を促す場合、多くは専門の人材紹介会社に委ねます。
人材紹介会社では面談やカウンセリングにより、本人の希望を踏まえた上で受け入れ先を調査し、面接、採用に繋げる役割を担います。
人材コンサルタント、転職コンサルタントと言った役割の方が転職活動の手助けをするイメージです。

まず希望退職者のこれまで経験した会社内での仕事内容、役割りや成果などを整理し、本人の強みやスキルを明確にしていきます(キャリアの棚卸しとも呼ばれます)
さらには、職務経歴書の書き方の指導や実際の面接のシミュレーションによる指導なども行います。

黒字リストラ再就職苦戦

人材紹介会社は、採用に結び付けるのがビジネス(1人採用して幾ら)ですから、応募先に「採用してもらう事」が全てです。
つまり「本人の能力云々よりも、採用してみたくなるような情報武装をした書類と、信頼やスキルを感じさせる練習した面接」で、採用してもらう事だけをゴールに活動しているところも少なくないのが実情です。

まるで似たようなエントリーシートと同じような受け答えをする就活テクニックを学んだ大学生みたいです。
新卒ならばビジネス経験も無いのでマニュアル通りの回答はまだ可愛げがあるでしょうが、40代のしかも大手上場企業の方が、付焼刃の情報武装では、そう簡単に上手くいくわけがありません。特に色んな応募者を見ているベテランの採用担当や、経営層であれば、直ぐに本人の「素」を見抜くでしょう。

さらに新卒は「御社が一番」と言いながら、入社後三カ月で「こんなはずでは無かった」と言いますが、仕事の経験もスキルも無く、夢ばかりで現実を理解できない部分があるので会社側もそのことは了解済みです。そして三年以内に退職者が出ることも織り込み済みです。
一方で、40代の中高年の場合、情報武装も理論武装で面接し、仮に入社が決まったとしても、それが付焼刃の武装であったことが仕事を通して解るとどうなるか….
想像つくと思います。
従って受け入れ側はより慎重にならざるを得ません。

上記記事ではコンビニの店舗指導員のオーナーに対するかなり強引な仕事のやり方に触れていますが、目標達成のためには、かなり強引に手段を選ばず動いてしまうのは売上至上主義の大手にはよくある話です。コンビニオーナーも犠牲者ですが、一番は本部都合の商品の売り場を利用するお客さんかもしれません。

退職させる企業、そして希望退職者の就職斡旋をする人材紹介会社にも同じことが言えるかもしれません。
とにかく目標人数を就職させれば終わり。本人の次のステージでの活躍や仕事のヤリガイなど考えているかどうかは甚だ疑問です。
付焼刃的な情報武装、理論武装での就活の一番の犠牲者は、転職先で評価の高さや期待に戸惑う希望退職者本人と、期待して採用した会社だと思います。

焦る気持ちは理解できますが、「何が何でもどこかに就職」と先走るのは危険です。
そして、就活用に装飾した自分ではなく、素の自分で勝負できる仕事を探して行くことが大切だと考えます。
(編集部)

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