東京都転出超過現象
総務省発表によると、東京都は昨年7月より6か月連続で転出者が転入者を上回っているとのことです。(昨年1年では転入者が転出者を上回る転入超過)
新型コロナウィルスの影響によりテレワーク、在宅勤務が増加したことが影響していると言われていますが、都市部に集中していた企業の本社移転や、失業したり収入が減ったりした人や外国人労働者の入国停止なども影響があったのではと言われています。
いずれにしても、以前より問題視されていた「東京一極集中」が、コロナの影響で一気に流れが変わってきているのかもしれません。
「仕事と暮らす場所 地方移住希望者の増加」の記事でも触れましたが、遠くの地方移住はまだまだ敷居が高く、1~2時間で都市部に通勤可能な「近場の田舎」が人気。
千葉、神奈川、埼玉の近県3件は東京都からの転出者が転入者を上回っており、テレワークとは言え、月に何度かの出勤もあり、満員電車など密を避けられアクセスのほどほど良い地域が人気です。
参考:東京からの転出者急増、約半数が近隣3県へ コロナでテレワーク普及(東京新聞)
さらに東京都以外でも、名古屋圏(愛知、岐阜、三重)、大阪圏(大阪、京都、兵庫、奈良)もいずれも転出者が転入者を上回る「転出超過」の状況であり、都市部に住み、働くこと自体が再度見直されているのかもしれません。
テレワーク拡大の影響から「東京の仕事は変えず環境のいいところへ移りたい」と言う人達だけでなく、コロナ禍で失業したり収入が減ったりした影響で「家賃や生活費の安い東北や九州などの地方都市への移住を希望する人」も増加しており、この状況を受けて、地方では仕事と住居の相談窓口を設置して始めています。
政府も東京都からの転出に関しては後押ししており、コロナ禍を機に東京一極集中の是正を進めようと、21年度には「東京で仕事を続けながら地方に移住した人に最大100万円の支援金」を出す予定です。
受け入れ側の地方自治体も住民のテレワーク環境を整備するための交付金も新設すると発表しています。
今後は、何処でどのように働いていくのか、と言う個人の働き方の概念が変わっていくことでしょう。
変わるテレワーク
東京転出超過の大きな要因と言われるテレワークですが、いい面だけでなくマイナスの面も話題になっています。
一つは、オンラインによるコミニュケーションが上手く行かない状況からくるストレスや、出勤し同僚と顔を合わせないことからくる不安感など心因的な影響が問題視されています。
準備不足、不慣れなテレワークを一気に導入した企業で多く起こっているようで、各企業でオンラインによる個人面談や出勤時のフォローなどテレワーカーのマネジメントに注力し始めています。
テレワーク側もマネジメント側も今後、テレワーク時のコミニュケーションに関しては事前の教育研修、レクチャーなど新たな人材育成と強化が求められます。
二つ目は、テレワーカーの仕事場所の問題です。
もともと自宅に仕事場所がある会社員は少なく、特に子供のいる家庭などでは仕事場所の確保に課題があるようです。
自宅を改造して仕事スペースを作る人がいる一方で、子供やペットの雑音がしないよう駐車場の車の中からオンライン会議に参加したり、広がりつつある近場のコワーキングスペースやカラオケボックス、あるいはカフェなどで仕事を余儀なくされている人も増えてきています。
オンライン会議中に目の前を猫が横切るテレビCMや、「出社日は 次はいつなの 妻の圧」と言うサラリーマン川柳が話題になるなど、必ずしもテレワークが快適に行われているとは限りません。
参照:サラリーマン川柳2021 (第一生命)
今後テレワークを定着させたい企業は、上記の教育研修以外に、自宅での快適な仕事の仕方のノウハウの提供やテレワーカーの定期的フォロー、更には家族への理解促進、コワーキングスペースの用意など、様々な面で対策が求められていきます。
加速する都市圏転出。コロナ終息後も残ると言われるテレワーク。
実際に転出された方、、地方に移住された方、新たに事業を起こした方などがSNSで積極的に情報を配信しており、元気で満足している様子も投稿されています。
どこでどのように働くか。
具体的な仕事場所と、仕事の仕方は、これからもより快適な仕事スタイルを目指して変化し続けていくことでしょう。