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年明け早々から始まる早期希望退職者募集

早期希望対象者募集の便乗

希望退職募集に応募が多い現状」でも触れましたが、東京商工リサーチが2020年12月日の発表では上場企業の早期・希望退職者募集が12月7日までに90社に達し、リーマン・ショック直後の2009年(191社)に次ぐ高水準でした。
その後、カシオ計算機が早期希望退職者を募集(12/23)などがあり、一昨年の3倍の社数となっています。(カシオ計算機は昨年2月にも早期退職者を募集(156人が応募)しており2年連続)

発表した企業の多くが「新型コロナウィルス感染の影響」をうたってますが、果たして全部がそうかと疑いたくなります。
もともとここ数年、業績は好調な企業であっても、新たな事業の構造改革のために、40代以上の中高年社員を対象とした早期・希望退職による人員削減がありました(黒字リストラ)。
確かに新型コロナウィルス感染の影響で業績が下がっている部分はあるでしょうが、アパレルや宿泊飲食業関連、旅行、運輸業のような影響を直接的に受けているわけでもなく、昨年後半からの業績悪化による早期希望退職者募集の流れに便乗して発表し、内部留保など資金力を、次の事業、人材に回す企業も多いのではないでしょうか。
直接コロナの影響を大きく受けたのであれば、同業界、業種の大手は、アパレルのように次々に発表するはずです。
言い方は悪いかもしれませんが、今の時期は早期希望退職者募集は企業によっては都合がいい。従来のように発表と共に注目を浴び、悪いイメージを持たれたり、取引先から不安視されることが少ない。
課題であった中高年の生産性や人員バランスの問題を、ここぞとばかりに便乗してくる企業が増えてくるような気がしています。

これから始まる更なるリストラ

既に年明けから、早期希望退職者募集は始まっています。

来年に早期・希望退職実施予定がすでに18社、リーマン・ショック超えの水準(東京商工リサーチ)
昨年末の時点で1月に予定している企業が既に18社もあるということです。
これもリーマンショック直後の数字をはるかに超え最多で、募集人数を発表しているのは13社で計3360人。
LIXILグループ、オリンパスなど名門企業も上がっており、今回の特長としての短期間の募集も多いようです。
12月は経営面では第4四半期の目標と通期の業績予想が出るタイミング。利益確保や赤字を最小限に抑えるために、更なる固定費削減に手を付ける企業は増えてきます。

そして年末年始のタイミング。
社員に会社に対する不安を抱かさずに年末年始を過ごしてもらうため、希望退職者募集の発表を年明けに持ち越している企業があるのも事実です。
現に、年内に策定し翌年1月末に発表した企業は過去にも多くあります。
経営層は社員に対する雇用の責任よりも、株主に対する業績と今後の事業に対しての責任を多く負っています。よくある特別退職金(退職金の上乗せ)の費用に関しても、3月期決算において特別損失として計上する予定であれば1月から2月にかけての発表はさらに増えることとなるでしょう。

我が社は、利益出てるし安定してるから大丈夫だろうと考えるのは甘いのかもしれません。
業界や同業他社が、何事も無くても自分の会社だけが急に、という事もあり得ます。

これからはいつも自身のこれからを考えておく働き方が必要です。