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脱ハンコ・ペーパーレス化への課題と働き方

脱ハンコ ペーパーレス化への課題

新型コロナウイルス感染拡大の影響による在宅勤務やリモートワークの拡大の中にあって
出社を余儀なくされた方々の声で多かったのが、事務系の業務です。
「ハンコを押すために出勤」「書類を作成するために出社」「月末の請求書作成の為に出社」など特に、事務管理系、経理部門、管理職の出勤が目立ちました。

IT系、技術系、クリエイティブ系の職種がいち早く在宅、リモートワークに転換し、営業もオンラインを取り込んだり、企業が用意したコワーキングスペースでの活動を展開するなど、会社に毎日出社しない形での就業形態が展開されている中、未だ「社内稟議書類への捺印」「請求書作成、確認、郵送」「保険、年末調整などの書類収集業務」「経費の精算業務」など総務・経理部門での仕事は、社内での業務が限定され、毎日定時の出社を余儀なくされている方も少なくありません。

政府が「脱ハンコ」「ペーパーレス化、電子化」の推進を発表し、徐々に推進している中、
未だ着手できずにいる企業も多く、部門により疑問や不満などの声も上がっているようです。

エン・ジャパン株式会社が運営するpasture(パスチャー)が、全国の経理・財務・会計・管理に関する部署に所属する900名を対象に行った「発注請求業務に関する意識調査」によると、
・約4割が自社の請求業務は効率が悪いと感じている
・効率が悪いと感じる請求業務の第1位は「押印業務(49.0%)」次に「請求書の印刷・封入・投函などの作業(45.3%)」、「請求書の管理・保管(45.0%)」
と言う結果が出います。(※参照 発注請求業務に関する意識調査(pasture調べ)

さらに調査では、リモートワーク期間中に、発注請求に関連した業務の為、出社に関し6割りが出社経験があると答え、7割がそれが原因でストレスを感じていると答えています。

導入課題と働き方

今回課題として出ている押印業務、請求書の印刷・封入・投函、請求書の管理・保管などの業務は、従来から多くの企業にある業務です。
新型コロナウィルスの影響で在宅勤務、リモートワークが導入されたことにより、一部押印者出社などのスケジュールでの影響があったかもしれませんが、直接的に影響があったわけではなく、単に「経理のIT化、ペーパーレス化が遅れていたこと」が原因ではないでしょうか。
企業は今後、経理など管理業務のIT化、社内のペーパーレス化に本格的に取り組まなければ、業務効率化どころか不満を抱く社員の離脱も考えられます。

アンケートから解るように、ペーパーレス化(電子化)に取組んでいない理由TOP3は、「導入コストの問題」「紙の方が安心」そして「経営陣のITリテラシー不足」になっています。

導入コストに関しては、単にIT化システムやツールの導入だけでなく、セキュリティの問題、社員への教育や共有と共に、取引先への告知、共有も必要となり、時間的なコストもかかる為、一気にとはいかないでしょうが、段階的に進めていくことしかありません。
請求書作成や押印などは比較的簡単にペーパーレス化でき、既に進め始めていする企業も多いようです。

紙の方が安心と言うのは完全に主観の問題ではないかと思います。
子供たちがプログラムを学び、大学のレポートがWEBで行われ、役所の手続きがネットを介して行われ始めた現在においては紙文化、安心の定義も変わってくると思われます。

何よりも問題なのは「経営陣のITリテラシー不足」です。
これはその企業の将来、さらには社員の定着や新規採用、取引先からの評価につながります。例え請求書一枚の話でも、もし現状が変わらないのであれば、ゆくゆくその企業は社員に見切りをつけられてもおかしくありません。
経営陣自体が、IT、ペーパーレス化に如何に理解を示すかは企業にとって最重要課題の一つになっています。そのうち経営陣自身がPC、タブレット、スマホなどの端末に慣れ親しむ努力を強いられることになるでしょう。

そして経理管理部門の方々も、業務もIT化されることで、会社会計、簿記の知識だけでなく、ITをどのように上手く活用して経理業務を効率化し、少ない人数で迅速かつ正確に業務をこなせる仕組み、体制、マネジメントを行えるかと言う観点で評価されることになます。

そして経理事務を長年やっていたことよりも、チーム、部門のIT化推進、ペーパーレス化実現がキャリア、評価の一つになるのではないでしょうか。