前回の「大型出向と人材戦略」(10/27)で、ANAグループ社員の出向をトヨタ自動車を含む数社に要請していると言う読売新聞のニュースを紹介しましたが、掲載当日の夕方に記者会見があり、家電量販店大手のノジマや、高級スーパーの成城石井などグループ外の企業に来春までに400人以上を出向させることが発表されました。
■ANAが20年ぶりに月給減、ノジマや成城石井に400人以上出向
トヨタ自動車などにも要請はしているようで、まずノジマ、成城石井が受け入れを承諾をしたという事でしょう。
会見によると、今回り出向は、社員の年収減額と共に、大規模な希望退職者募集ではなく一時的な人件費圧縮の為の策のようです。
前回も触れましたが、出向先でどのような仕事、役割を担うかが重要です。
発表されたノジマ、成城石井は販売がメインの業界。ノジマと言えば、先だって定年後も最長80歳まで活躍できる制度を発表したばかりで、対面接客販売にスキルある人材の有効活用を促進しています。
ANA社員の強みである接客サービス面のノウハウやコミニュケーションスキルを活かしていくのか、それとも両社の新たなビジネスに関連する役割になるのか、これからの「出向」のモデルケースになる点も注目したいところです。
尚、ANAは「脱・航空一本足」を掲げ、顧客データを活用したプラットフォームビジネスを拡大。旅行商品の提案、ネット通販や保険、移動手段の手配、決済などを一括するアプリ開発に注力するようですが、こちらも個別サービスについてはネット、アプリなど競合も多く、ANAならではの独自性の企画開発や告知・広報面での新たな人材の確保が必要でしょう。
JALを含め航空業界、JRなどの運輸輸送業界は、新型コロナの影響により大きな打撃を受けました。
9月中間決算でも赤字を発表し、今後コロナ終息後も以前の状態には戻らないであろうと予測しています。
各社とも、ANA同様本業以外の、顧客やインフラ、施設を利用した新規事業に取り組むようですが、既存の人材だけでなく新たな専門スキルを有する人材の獲得が命題なります。
そしてそれは企業における「第二の主流人材」と言えるでしょう。