ウィズコロナの評価制度
以前より、年功型人事制度への問題提起や、日本型経営への欧米型成果主義の導入課題など様々な議論がされ、人事評価制度については、各企業で試行錯誤がなされてきていましたが、ここにきて新型コロナウィルス感染の影響もあり、評価制度を大きく変えざるを得ない状況に来ています。
一番の要因は、テレワーク・リモートワークの拡大です。
働く姿が見えないことへの不安や不信が蔓延している一方で、従来の多くの企業の『出社することを前提とした働き方の評価軸』が、この状況下大きな見直しを迫られているのです。
現状のテレワーク、リモートワークをどのように評価していくか。細かな職務分析を行った上での明確な成果を目標とした評価制度の確立を求められています。
そして、テレワーク・リモートワーク化している職種だけでなく、全ての職種にその評価制度の導入と運用をしていかなければなりません。
制度設計にあたる人事部門は、知識が無い、経験が無いでは済まされず、よくある従来の評価制度の改訂レベルでは済まないでしょう。
そういう意味では人事の方も「人事としてのプロと成果」を求められるわけです。
職務分析による成果評価の制度設計は、同時に日本型経営に多い「曖昧な評価軸」を無くしていきます。
「よく頑張っている」「遅くまで真面目にやっている」「能力がある」「取り組み姿勢がイイ」など、曖昧な評価項目や考課者の独自の主観による判断は無くなっていきます。
そして、新たな評価制度の中では、年齢、勤務年数に関係なく能力、成果評価で責任あるポストに就く社員が出てくる一方で、長年の功績があっても役職に就けないベテラン社員が出て来ます。
さらに期初に立てられる部門、チーム、個人の「目標」も、日々の変化を踏まえれば、一年を通してのものと言う考え方も変えていくことになるでしょう。
これからの評価制度
ウィズコロナの人事評価はジョブ型雇用を前提とした成果型のものに変わってきます。
それと同時に、古き良き日本型経営の慣習も変わっていくかもしれません。
・会社を「うちの会社」、部門を「うちの部」と言う、一世代前の企業内コミュニティや文化。
・役割や立場ではなく勤続年数で判断されていた先輩後輩関係。
・「職場の元気印」「ムードメーカー」と呼ばれ評価されていた社員。
・年次で行われている一律の社内教育。
・愛社精神、帰属意識、などの一体感醸成、社員エンゲージメント。
これら昔ながらの日本企業の文化までも全く無くなっていくのでしょうか。
ウィズコロナの時代にあって、リモート、オンラインでの成果中心のマネジメントや事業展開においても組織の一体感醸成や個人の能力開発は必要です。
これからは、ジョブ型雇用とチームやユニットでの成果と評価や、外をけ向いた新たなエンゲージメント(例えば顧客)を上手く組み合わせた制度の導入が求められると思います。
【あとがき】
その昔、野球のジャイアンツの中畑選手はチームのムードメーカーと呼ばれました。
他チームにもムードメーカー、ヤジ将軍、宴会担当などと呼ばれる選手が多数いました。
しかしながら皆実績を出すプロ契約であり、中でも中畑選手は3割20本打つ一流選手でした。
何と呼ばれていても、結局はプロであり、期待通りの成果を出すかどうかが全てなのかもしれません。