露呈した行政サイドのデジタル化
新型コロナ感染者情報が連日トップニュースになる中、依然として給付が行き渡っていない各種給付金、助成金の話題が出ています。
参考 ■10万円給付、自治体で時差 電子申請不備多数、対応苦慮―新型コロナ(時事ドットコム)
個人向け定額給付金、事業者向け持続化給付金など、未だ行政の事務作業が追いついていないと言いいます。
原因は明らかで、「行政サイドのデジタル化の遅れ」の一言に尽きます。
以前から日本の行政のデジタル化の遅れは危惧されていましたが、今回の新型コロナ騒動で一気に明るみに出たと言う感じです。
そして今回の件を受けて政府側もデジタル化の遅れを認めています。
■日本のデジタル化は「10年遅れ」、コロナ契機に転換を-平副大臣(ブルームバーグ)
において平副大臣も「本来テクノロジーの進歩と合わせて政府もデジタル化していかないといけなかったのに、それができていなかった」と振り返り、
「政治家サイド、行政サイドが意識を強く持ってやってこなかった」ことで、テクノロジーの進歩に沿った規制改革が停滞したと反省を口にした。とあります。
行政機関、役所は未だ紙ベースでのやりとりが多く、パソコンに対する認識が、「ネットワーク上のクライアント側デバイスの一つ」ではなく、一昔前の「賢い計算機」であるかのようです。紙で提出してパソコンに入力、パソコンからプリントアウトして紙で管理。
例えば、民間のサービスカウンターや窓口では、窓口のテーブル上にPCがあったり、担当者がノートPCを開きながらその場で対応してくれますが、役所では窓口で渡した紙ベースのものを「ちょっとお待ちください」と、担当者が奥に行ってパソコンで何やら作業をし、プリンターで打ち出してこちらに持ってくきたりします。
「時間かかるなあ、非効率だなあ」と思わず、「よくやってくれている」と感じる人がまだまだ多いのかもしれません。
さらにwindowsなどOSのバージョンアップやサポート終了の話題になるといつも出てくるのが役所や学校のパソコンの話です。
セキュリティに関するリテラシーが高くないことも共通です。(もしかしたら未だにWindows7を使っているところもあるのでは)
さらに今回、感染者数のデータの間違いであらわになったのが、「保健所から区や市へのFAX」という流れです。
世界中でこれほどFAXを使っているのは日本だけで(FAX王国と呼ばれてます)、外国の方は皆驚いているし、アメリカではFAXは骨董品あつかいでスミソニアン博物館に展示されているのは有名な話です。
行政のデジタル化は、今後政府の最重要課題の一つになるのは間違いないでしょう。
出来れば、いつものような検討会議を重ねることはそこそこにしていち早く着手してほしいものです。
自社は大丈夫ですか?
定額給付金の郵送資料さえ来なくてイライラしている方もいると思いますが、では現在お勤めの会社のデジタル化はどうでしょうか?
もしかしたら役所と同様にパソコンを賢い計算機と見立て、会議資料はプリンターで打ち出した紙ベースで行われていませんか?
そして会議で決まった手書きの詳細をまた紙を見ながらパソコンに入力するなんてことしていませんか?
さらにその流れを役所と同様に「時間かかるなあ、非効率だなあ」と思わず、「よくやってくれている」と評価する人がいるとしたら問題です。
ただ業種によっては、未だFAXが活躍する分野(産物、商品などの注文とか)もアリ、一気に変わるとは思いませんが、少なくとも営業、販売面、社内業務に関しては、デジタル化が遅れていることは、マイナスでしかありません。
デジタル化(IT、ICT、DXなど)は、サービスのオンライン化だけでなく、業務の効率化、簡素化とスビード化、そして経営全体のスリム化を実現するものです。
もし、そこに重きを置かない会社は、言い換えれば、
「新規顧客との接点は増えなくていい」「サービス提供は少々面倒でも構わない、昔からの我が社のやり方」「注文増えると忙しくなるのは当たり前、仕方がない」
と言っているのと同じで、デジタル化したスピードある競合が現れると
「我が社もデジタル化に検討を重ねるべきだ」と何度も紙ベースの会議を重ねることでしょう。
貴方のお勤めの会社は大丈夫ですか?