新しい記事のお知らせ

電子化の流れで仕事が無くなる

紙文化・ハンコ文化の影響

政府の新型コロナの経済対策で、企業や個人に向けた助成、給付、協力金などの支援が各所で申請が始まっていますが、申請が受理された、既に受け取った、役立っているという声は未だ少ないようです。
件数が何十、何百万と多いことと、申請を審査し承認するための人的なキャパシティにも限度があり、時間がかかっていることが考えられますが、それ以外にも申請に必要な書類など事前に用意しなければならないものが多すぎることが申請に時間がかかっている要因かもしれません。
中小企業へのコロナ関連の特別貸付ひとつにつしても、申込書以外に登記簿謄本、売り上げ減少証明書類、確定申告書、事業概要書類、代表者の証明書など複数の書類を準備しなければなりません。
融資を金融機関を窓口にする場合は、さらに納税証明書や地方税の証明書、法人や個人の印鑑証明を求められます。
結果的に申請窓口だけでなく、書類準備のために、地元役所、法務局や税務署など列を作っている現状です。
一方で個人向けの定額給付金では、急いでマイナンバーカードを作成する人が役所の窓口に列を作っています。マイナンバーカード所有者の申請と受理が早いと言われているからでしょう。

いずれにしても、個人や企業の情報が一元化できていないこと、各行政の縦割り組織で役割分担が細分化され申請・受理までに時間がかかること、そして紙文化・ハンコ文化が未だ大きく影響していることは間違いないでしょう。
世界各国の支援状況で見ると、国民や企業をIDなどで一括で管理している国が支援のスピードが早いと言う話題が出ます。
個別管理の良し悪しは議論はあるでしょうが、今回のコロナ感染騒動を受けて、何等か変わっていくのかもしれません。

電子化で仕事が無くなる人も

各支援の申請に関しては、一方でインターネットによる申し込みも始まっています。
個人向けの給付金では、マイナンバーカード所有者はPCやスマホを活用しアプリを使った申し込みが可能になりました。
そこには、申請用紙も実印もありません。スマホからの申し込みも対応し、書類のアップロード、添付画像で対応しています。
とにかく早くて簡易でできるのがネット申請の強みでしょう。
ネット機器、環境を持たない方用に、郵送による紙ベースのやりとりもありますが、このような申請関係は徐々にネット申請が主流になってくることは間違いありません。

電子化の流れでは、今回のような申請内容、関係書類、資料などは紙ではなくデータで保管され、個別の紙資料を保管する必要も無く、過去のものの検索もスムーズに。締め切りや営業時間、曜日に関係なく受付けが可能になります。
もちろん承認時の人的リソースやセキュリティの問題はあるでしょうが、今まで以上にスピードを持って効率的に処理されることになります。
しかし一方で、紙ベースで仕事をしていた人々の仕事が一気に簡素化され、無くなってしまうことも考えられます。
書類の電子化を進めると同時に、今までの業務の流れと、担当個々人の役割りを見直す必要が生じます。

企業のテレワークでは「ハンコをもらうためにだけに出社する」「領収書を提出するために出社」と言う笑えない話がありましたが、特に紙書類の承認に携わる方々は電子化により、自分の仕事自体が簡素化され組織での存在意義を問わることになるかもしれません。
パソコン知識やITに関するリテラシーが低いとより厳しい状況になるでしょう。

各役所や公共団体、そして金融機関、郵便局や企業の管理部門。
その多くがIT化に向けての人材の採用を進めている背景には、これから電子化による効率化を目指し、同時に紙ベースの仕事を無くし、無駄な人材を削減していこうとする狙いがあるのではないでしょうか。