脱サラ開業独立の道
前回の「未経験の業界、業種、職種への転職、キャリアチェンジ」では、将来性を感じた業界への転職や定年退職後に違う世界にトライすること、また余儀なく仕事を失い生活の為にやるとりあえずの仕事を本業にしていくケースを紹介しましたが、いずれも転職、つまり組織に属し雇用されている働き方に関するものです。
今回は、決まった組織に属さない、雇用者ではない独立開業について考えます。
現在若者の間では『起業』『起業すること』が働き方の一つの選択肢となっており、就職、転職は将来の起業を見越したスキルアップの為の位置づけで考えています。
もちろん、終身雇用や年功序列の日本型経営が次々に終息し、黒字でも中高年リストラという社会事情を見ていれば、長い期間一つの会社で働くことに関して安心よりもむしろ不安の方が大きいでしょうし、ここ10年次々に誕生するベンチャーや、ユーチューバー、ネット転売業、eスポーツなどの新たな仕事、ビジネスの登場もあり、
会社を辞めて別の何かを始める事に対して抵抗が無くなっているようです。
一昔前は『脱サラ』と呼ばれ、会社勤めを辞め、飲食業などを手掛ける人は一定層いました。
当時は好きなこと、やりたいことへの挑戦と言う思い切った行動に拍手を送る一方で、不安視する声も多かったように思います。
しかし現在では、若者層だけでなく、中高年、シニアに至るまで、脱サラして転業、転身する人が増えています。
マスコミや雑誌に取り上げられている独立開業してそれなりに成功を収めている方で、よくよく聞けば『元サラリーマン』と言う話が多いのは皆さんもご存知のことでしょう。
例えば、有名な話では
■出版社会社員からフリージャーナリスト
■大手百貨店の管理職からバーの開業
■営業マンから個人フィットネストレーナー
■家電販売員からマッサージ師
■大手メーカー営業から自転車グッズ販売店開業
■パート主婦から料理アドバイザー
■不動産会社員からラーメン屋
■広告会社社員が銭湯の経営
さらに、思い切った転身で言えば
■通信会社会社員から鉄道運転手
■メーカー管理職から漁師
■学校教師から喫茶店開業
などテレビにも取り上げられるなど、元サラリーマンの脱サラ転身事例は数えだしたらキリがありません。
いずれも「好きでやってみたかった」と言う気持ちから転身されています。
仕事によっては不安定さ、労働時間や時間帯などの大変さはあるでしょうが、自ら好きで始めた仕事なので苦にならない、自己責任だけど人間関係のストレスが少ないと言うのが一番大きいようです。
特に開業系のビジネスは経営で得た利益をすべて自分でコントロールできることがメリットといえるでしょう。
独立開業への不安に対して
とは言え、独立開業に関しては「そんなに甘くない」「最初は上手くいかない」などのネガティブな話や実際に失敗したケースが多いのも事実です。
失敗しているケースで共通するのが『準備不足』『勉強不足』と言われています。
飲食業にしても、料理、お酒、コーヒーなどもお客様に出せるクオリティなのかどうか、さらにはお店の雰囲気から接客マナーに至るまで、プロとしてやっていくわけですから個人の思い込みだけでは上手く行かないのは当然です。
まして〇〇師と呼ばれる専門の職業には資格や実経験を求められますし、経営となれば、PL、BS、税務知識、人を雇えば雇用や保険の知識も必要です。
まずは、やりたいことを実験するためには、どのような知識、スキル、実技が必要なのか。
開業資金や準備物、開業場所、個人事業主として税務などを調べ、開業までのステップスケジュールを自ら立て、一つずつ実践していくことが重要です。
最近話題のYouTuberのように、とりあえずやってみたら流行ったので後から個人事業化したと言うのは稀なケースなのです。
個人での開業に関しては、様々なところでセミナーが行われていますし、公的支援もありますし、銀行でも相談に乗ってくれます。まずは色々調べてみることです。
参考: こんなにある独立・開業の支援制度!徹底活用法(ビジェンド)
もちろん関係するスキルに関してはスクールや通信講座で学ぶことも必要ですが、現在は『副業』として少しずつ始める方法が流行っています。
副業を容認している企業が増えているので、休日に実際に飲食店でアルバイトしながら勉強したり、先に開業している人に話を聞きに行ったり、同じ考えの人達とネットワークを作ったり、とりあえず店舗を持たず自宅で小さく開業し、ネットを活用して告知したりなど具体的に着手していく方法はいくらでもあるのです。
「会社勤めが安定しているし脱サラはリスクが大きいから」
未だそういう声はありますし、否定はしません。
しかし会社勤めの会社自体が今後どうなるか、いつまで勤めていられるのか、誰にも解りません。
安定で人気あったはずの大企業が大リストラを繰り返し、そのうち倒産してもおかしくない時代です。
教師、郵便局、自治体、公共機関も未だ非正規雇用を繰り返しています。
そして何よりも、その仕事が好きなのか、やりたいことなのかが大事ではないでしょうか。