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カウンセリング事例~上手くいかない原因に気づき、自分に合った働き方を選択するまで(最終回)

神奈川県Tさん 52歳 大手不動産 → 転職活動
総合失調症だったこともあり、以前の働き方はしたくないと言う強い気持ちでいても、とにかく生活の為に仕事をと、同業界(不動産業)に戻ったTさん。その後どうなったのでしょうか。

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就職してみたけど (3回目の相談)

Tさん「結局、半年も経たずに辞めました。無理をしない働き方を徹底した所、後輩からは、そのために呼んだんじゃない、もう少し見せてくれ、というリクエストもありましたし。
しかし、何より、やっぱり若い人見ててもっとやりたくなっちゃうんですよね。
この業界では自分の働き方は変えられない。精神的に追い込まれてパンクするまで突っ走ってしまう、という予感が抜けなくて。」

精神疾患が再発するリスクを感じられるんですか?

Tさん「実を言うと、今も薬を飲んでいます。統合失調症なのです。発症したのは、十代の頃でした。
自分では父親の暴力とストレスで、更に悪くなってしまったと思っています。この病気とうまく付き合いながら、出来るだけストレスの少ない働き方をしないとダメですね。
ただ、不動産業界以外で稼ぐ仕事をしたことがないし、年齢も年齢だし、どうしていいかわからないのです。」

その病気であれば、障害者手帳を持つことが出来、障害者の枠で就労も可能です。検討してみましたか?という問いかけに、Tさんは「全く考えていませんでした。」と。
※障害者の法定雇用率は、年を追うごとに上がってきており、国や地方公共団体では、民間よりも高い雇用率が義務化されて、民間、特に上場企業や大企業ほど、企業のCSRの観点から、雇用に積極的です。

さっそく、クローバーネットで検索してみると・・・ ANAが募集している!

Tさん「実は、昔からANAで働くのが夢だったんですよ。チャレンジのチャンスもなくて今日の今日まで忘れていましたが、障害者であれば応募できるんですね!パイロットとか、エリートのような職種でなくてもかまいません、ANAという会社の一員になってみたいんです。
障害者としてではなく、一般就職で働きたいとは思っています。やはり、障害者として見られる、自分でも認めるって、簡単ではないし。だけど、これも何かのチャンスかもしれません、持ち帰って検討してみます。」

結局決めた仕事は?(4回目の面談:最終)

Tさん「あの後、障害者手帳、取りました。正直、初めは抵抗ありましたが、気持ちを切り替えました。
メリットもありました。無料で利用できるバスや交通機関があるんですよ。今日もここ(カウンセリング場所)まで、タダで来ることが出来ました。働いていない身としては、ありがたいです。
それに、美術館や博物館も無料で利用できたりするんです。美術館めぐり、博物館めぐりは好きなほうで、働いている時はよく行っていました。その趣味を再開できて本当に嬉しく思っています。」

ANAはどうなりました?

Tさん「結論から言うと、今は一般就労で、病院の事務をしています。
障害者手帳を持っていることは、職場には伝えていません。
事務の仕事なので、ストレスもかかっていないし、病院というのが人を助けるためにある施設なので、何というか、人助けの一部みたいな役割だと思うと、障害のことが一切気にならないで働けるんです。
多分、このまま、続けていくんだろうなあと思います。

ANAは、実は応募しました。書類も通り、採用面接試験までつながりました。しかしそこで辞めました。なんて言うか、夢に近づけたことで満足というか、納得感が持てたんだと思います。
面接の通知が来たのですが、丁重にお断りしました。

病院の事務が、やりたい仕事だったのか?と言われると違うかも知れませんが、今は仕事以外に、こうやって出かけて人と会いたい時に会ったり、美術館行きたい時に行けたり、とても変化がありました。今は、新しい生活が新鮮で充実しています。
何事もなければ、このように仕事だけでなく、生活も楽しめる、そんな生き方をしていきたいと思えるようになりました。

大事なことに気づけましたね

あの時、今みたいな気持ちになれていれば、結婚生活も続いたかもしれません。
まあ、あの頃は若かったし、父の呪縛の中にいたし、今みたいな気付きがなかったので無理でしょうけど。

これからはどうですか?

Tさん「これからは、色んなことが可能かもしれません。先ずは、歩み始めたこの生活を続けていきたいと思います。」

※現在Tさんは、県内の病院の事務長をやっておられます。

働くことと生きることは切っても切れない、不可分のもので、プライベートやライフ面における葛藤は、キャリア形成にも大きな影響を与えます。
仕事における職業上の悩みだけでなく、家庭内の役割や生い立ちでの問題、人間関係での葛藤、また自己肯定感の少なさや性格上の問題など、困難な場面は誰にでもぶつかって来ます。
そんな時こそ、当機構ではキャリアコンサルタントや産業カウンセラーと言った相談支援の専門家への相談を勧めています。
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